SOS-2-

 まだ、拓人は悩んでいるようだった。


 恋人を怒らせたままでは、ボクとつきあえないと、言っていた。


 ことの経緯はこうだ。



 ボクとのデートの予行演習で、恋人と駅地下へ行って、ココナツ入りのタピオカミルクティーを買った。ここまではいい。


 しかし、そのあと、つまらないことで喧嘩をして、恋人は去ってしまったという。


 困った拓人は、すぐさま周囲に助けを求めたが――恋人の機嫌は直らなかった。



 なんてつまらない恋人なんだろう。ボクなら別れる。


 なんて狭量――カエルの卵の話をしたから? 気取ってる。


 タピオカなるものをボクは知ることができないし、知らないが、そんなカエルの卵みたいなものをよく、食べるなと思う。



 そして、そんなものを喜んで食べるくせに、カエルの卵云々という話をすると、口から噴射するように吐き出した――これはマナー以前の問題だと、ボクは思う。


 ボクなら、そんなことしない。拓人に恥をかかせたりしないのに。


 拓人――早くボクを女にしてくれ。






 交差点で、車がびゅんびゅん過ぎていく。


 赤信号で止まっていると、肩をたたかれた気がした――……。



「あぶないっ」



 そんな声が耳に届いた――。

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