優先順位(後編・冷感シャツ)

 暑い時季、冷たいものを増やせば増やすほど快適になるわけではない。

 ここ数年で爆発的人気を誇る冷感衣料。タオルだったりシャツだったり下着だったり。熱中症予防に売り場でおすすめされているこれらも、冷房がききすぎた部屋では己の首をしめ上げる。


 恥ずかしながら私もいくつか持っている。通気性の良さ、UVカット、汗の吸収率。己と周りを不快にさせずに、夏場をしのぐのはなかなか難しい。

 初めて冷感シャツを購入したのは某スローファッション店である。そのときはデザイン重視で選んだため、あまり詳しく紹介文を読んでいなかった。他のシャツよりも熱がこもらないことに着てから気付き、冷感シャツなるものがこの世に存在することを知ったのである。


 外回りが多い人だけでなく、冬場の暖房を暑く感じる人にとっては夏以外でも重宝する冷感シャツ。

 夏の冷房が加わると、ひんやりではなく全身を震え上がらせるような寒気に変わる。

 特に襟ありシャツだと、首回りがひやりとして、風邪のような悪寒を感じることもあるだろう。


 今日は涼しいシャツを着ているので冷房の温度上げてもいいですか、とは言いづらい。みんなが同じものを着ているわけではないのだから。

 クールビズ? そんなものは知らない。職場がきんきんに冷えた冷凍庫のようにクールなだけである。

 ちなみに夏の終わりには冷房25℃~27℃ぐらいに落ち着くようになった。

 部屋の広さを正確に測ったことはないが、四隅の人が問題なく会話できる広さである。人の数は若干過密かもしれない。もう少し温度を下げたい人もいたかもしれないが、集団生活である以上、どこかで妥協してくれたのだろう。私も渋々ながら妥協した。


 夏用の衣類を夏に着られない。金をどぶに捨てた気分だ。

 ただ他の場所では活躍できるかも、と思うと捨てられない。大切に閉まっておくのだ。

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