ムラサキ

曽根崎シンヂ

1

一面の紫の中を僕は歩いている。気づけば僕は歩いている。




ふわふわとした感覚、気持ちがいい。


ついさっきまでは、何か嫌な気持ちになっていたはずだ。




でも今はそんなことはどうでもいい。ただ素直に感じればいい。


紫の中では僕は気持ちよくなれる。




此処に来れたのはこれで何度目だっただろうか。確かに此処には何度か来たことがある。しかし、以前に来たときの記憶は朧気だ。




何故僕はこんなところにいるのか、そんな疑問も湧いてくる。


気持ち良くて、気持ちよくて、そんなことはどうでもよくなる。


ここでは、僕はただ気持ちよくなればいい。




どれくらい歩いただろうか、もうすぐこの時間はおしまいだ。


紫の終わりが見えてくる。




また此処には来れるのだろうか。




僕は紫の中を歩いて行く。

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ムラサキ 曽根崎シンヂ @ken-krypton

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