天に吠える狼少女(3/5)
作戦は作戦と言えるほど難しいものではなかった。
ようはユウが無事に
「デイ/オル/エテ/エテ/エファ/ウエル――」
セラの呪文の
「〈雷槍よ、
陽光の下でもはっきりと見える
ビクンッと
だが、化物に成り果てているにしてもそれが生物という
「ウオオォォッ!」
魔法によって動きが
二人がかりで両腕を抱え込み、
が、
グルアアアアアア――!!
「クソがッ!」
なんとか踏ん張ろうとディナが力を込めるが、腕の振りによって振り回され、しまいには
もともと体格があり、
「ぬぅ……!」
一瞬遅れてレイも無理矢理
「なんて馬鹿力だよ、クソッ!」
生き物としての形を失ってしまったが
「……少々手荒になるが」
そう言ってレイは再び突撃を
ガアアァッ!
動くものに反応してその巨腕が振るわれた。まだ視力は機能しているのか、それとも他の感覚器官か。いずれにせよそれが何かを認識することはできていまい。
「セヤッ!」
一閃。レイの超人的な技量によって
だが――
「――やはり、無駄か」
レイが
この
「クソ親父!目ぇ覚ましやがれッ!」
ディナが
グルアッ!
飛び退いたディナを追撃せんと
「ッ!?」
その吹っ飛んだ先を予想し、ディナは青ざめた。そこには間合いをとって機会を
(やべッ――)
激突する未来に
「よっと!」
引き
「なんだかよく分からねぇが、その
気づけば他の男衆達も前へと歩み出ていた。
「ああなっちまったやつは、自分の力量も分からねぇ弱いやつだ。だがよ、ああなっちまうってわかって、てめぇの娘のために上位魔族を殴り飛ばした族長が弱いもんかよ。俺達の族長は強い。族長は俺達の
応ッ!!
一人の言葉に残りの
「ここは俺らに
振るわれた肉で
「「どぉりゃあッ!!」」
二人同時の体当たりにたまらず巨体が
「押さえこめえええ!」
その掛け声で残りの
グアアアアアアッ!!
無理矢理押し倒された
「斬り落としても再生するというのならば――!」
騎士の
「今だユウ!急げ!長くはもたんッ――!」
自らも体重をかけて
「ッ!!」
ユウが走った。目指すはレイによって地に押さえつけられる左手。その指先。
「勇者の
もう何もできないセラも、
勇者、〈世界を救う者〉。人間を救う者でも魔族を滅ぼす者でもない。その二つが
人間であるディナと、
(うちに勇者の力があるなら!今、この瞬間に使えなきゃ意味がない!今、この人を救えずに、勇者なんて言えるかっ!)
その時、初めてユウは、自分から力を使うことを望んだ。
人間を、魔族を、そして世界を救う勇者の力を――!
「頼む……親父いぃぃッ!!」
自身の右手首を
勇者の小さな手の平が、
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