招かれざる者(4/4)
「……まさか、人間をかばうとは。相当毒されているようですね」
「――コイツァ、俺の娘だ。父親が無鉄砲な娘の面倒見るのは当然だろうが」
「……そうですか」
細長い指先がテヴォへと向けられた。指先で指し示さなくとも精密に魔法をコントロールできるのは先の魔力の刃で明らか。この動作はいわば、相手に圧力を加えるためだけの
「選びなさい。後ろの
「――ッ」
傷の痛みとは別に、
娘を殺すなど、できるわけがない――
「何、アホな事言ってんのやッ!」
だからこそ、こんな選択を
「何が起きてんのか、いまいちよぉ分からんけど、あんたは
セラに肩を
「黒髪……」
そんな髪色の人間は初めて見る。そしてふと先の記憶が
そう確か、勇者、と。
「――この子供が勇者?こんな人間の小娘が
魔族にとって最大の
その長い指先がゆらりと動いた。勇者との距離はおよそ十メイトル、そんな距離は
「させるかよォッ!」
ラチラサの
強力無比な攻撃手段である魔法の最大の欠点はその発動に呪文の
一方で、ディナの
矢の
「!?」
突然ディナは失速、何の
ただ単純な、魔力の放射――
しかしそれは量の
「―――――」
ディナがそれを考えている
今魔法を撃たれれば回避できない。受けるしかない。
防げない――
ディナが死を
「グルアアアアアッ!!」
「――ッ!?」
不意に
「あ、グァ……!?」
木に背中を
「なぜ、動け……まさか……!」
口の
「まさか、
ラチラサが小さく呪文を
「……
その言葉を聞いた瞬間、ふっとシェサの意識が
「は、はは!なんだよ親父!心配させやがって!ぴんぴんしてんじゃねぇか!」
そう気安く言うが、ディナの表情は嬉しいやら
シェサを早く助けねばという
「――ディナ」
だが、抱きしめられるほど近くへやってきた娘を父が抱きしめようとはしなかった。
「シェサ連れて、こっから離れろ」
「は?」
テヴォの言葉に意味が分からないとディナは首を
「早く、しろ……!」
何かを
「親父……?」
すぐ側にやってきたディナにテヴォは
荒い呼吸がかかるまで近づいたディナは、ようやっと、気付く。
「――親父、怪我、どこだ……?」
その黒い毛皮には
「に……逃げろォ!ディナア、あ、あ!?」
血走った
それは、
「親父、親父まさか!?」
――まさか、
先ほど
「ガあぁあアアぁアアァアあアあアッ!?」
テヴォが天に向かって絶叫した。まるで、神を
ボコリ、と。
テヴォの腕の一部が盛り上がり、そして、
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