自然と共に生きる者達(6/8)
「おっちゃんの言う自由は、自分達だけが生きていく話やんか。そうやなくて、他の
話すうちに
勇者だから、それだけではこんな言葉は出まい。世界を救うため、そんな
「そんなてめぇ勝手な願いで、俺達に生まれ持った生き方を変えろってのかい」
「せや」
「てめぇみたいな考えの人間は多くねぇだろ。俺達魔族を目の
「そんな人らが来たら、うちが説得する。やから大丈夫」
あまりにも
だがその
「――話にならねぇ。俺はこの森から出ていくつもりはねぇ」
「親父!」
叫んで、ディナははたと気付く。場に満ちていた
「だが、行きたいやつを連れていく分にゃあかまわねぇ。若ぇのの中にはそれでも行きたいやつはいるだろう。ディナ、この
そう言って、ニッと
一瞬あっけにとられた様子のディナだったが、やがて何か苦い物でも食べたかのように顔を
「このクソ親父……最初からそう言うつもりだったな?」
その言葉にはユウもぽかんとしてテヴォを見やる。
「若いのが何人か森を出たことで、このままじゃいられねぇってのは分かってた。この場所もいずれ教皇以外の人間に知られるだろうしな。そうなりゃいやがおうにも変わらにゃならん。どのみちこのままじゃいられねぇのさ。そんな時に誰でもねぇ、てめぇの娘が持ってきた話だ。乗るしかねぇだろ」
なんということはない。父は娘を信用しているのだ。その
「だが分かったと言う前に
「でも、おっちゃんは行かへんって……」
「俺みてぇな年寄りはもうここじゃねぇどこかになんていけねぇよ。この場所に根が生えちまってる。無理に引っこ抜けば
「そっか……うん。それでええよ。じゃあ、よろしく頼むわ」
そう言ってユウは再び右手を差し出す。
「おう。こっちこそよろしく頼むぜ」
その手が
「……………」
「ん、どした?」
しばし手を
「いや、何も起きひんなって」
ユウはてっきり
何かまだ条件が足りない?いや、あるいはもっと根本的な何かが……。
「まぁともかくだ」
長話で
「このことを
そう言って一足先に外へと出て行った。
「まったく、とんだクソ親父だぜ」
「まったく話に入っていけなかったな」
知らず
「ええ……でも、私達はただの
ホッとしてその場にへたり込む勇者を見やりつつ、
よく言えば
アー……
さくらもちが鳴く。まるで、自分もその私達の中に入っているぞと
セラはその
「おかわりいるか?」
まだたっぷり中身の入った
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