紅髪の異端審問官(5/7)
ラドカルミア王国から教皇領への道のりは数ある街道の中でも群を抜いて安全である。というのも、その
ローティス教はラドカルミア王国のほぼ全ての民の
そのためラドカルミア王国から教皇領までの街道はきちんと整備されており、行きと帰りの馬車がすれ違えるように
以上のことから、勇者一行の道のりはいたって平和であった。馬の体力を
そんな平穏な
「なぁ、いいだろ?とりあえず一回だけ!な?」
朝を告げる小鳥達の
「んー……どしたん?」
その
街道脇の
「昨日と一緒よ」
ぶっきらぼうに答えたのはセラ。ユウと同じく彼女もこの
「あぁ、昨日の……」
事の
ユウとセラにとってはもはや
――すげぇ……これが、魔族との戦争で常に最前線に立つラドカルミア王国の精鋭部隊、
武術の心得のほとんどないセラとユウには、レイの型の演舞がすごいということは理解できてもどこがどう、とは説明できない。その動きを実現するためにどれほどの労力が
そして次にディナが発した言葉も
――あたしと組手をしてくれ!
ディナが言うには、自分と同程度かそれ以上の練習相手をずっと探していたそうだ。教皇領ではそもそも戦闘技術を持つ者の絶対数が少ないために条件に合う相手がいないらしい。
しかしレイはそれに
そういうこともあってレイは組手を拒否した。しかし馬車の休憩中にもディナはしつこくレイに
「頼む!あんただって一人で
「そうかもしれんが、しかしなぁ……」
「あんたほどのやつと手合わせできる機会なんて早々ねぇんだ。
何が彼女をそこまでさせるのか、ディナは両手を合わせてレイに
「やってあげなさいよ」
動かした視線が
「朝からキャンキャン……うるさいのよ」
一般的に、美人であればあるほどその表情に怒りが浮かんだときに恐ろしく見えるという。
「ひぇ……」
間近でその横顔を目にしたユウが一歩分、背後に後退した。実際のところ、セラはそこまで怒ってはいない。ただ寝起き
その
「セラもそう言ってることだしさ。それに、女の
「いい女は自分から
「やりぃ!」
ディナはガッツポーズをすると、
ディナに続いて拳を構えたレイに
「おいおい、あんたの
そう言ってレイの背に
「……正気か?」
信じられない言葉にレイが聞き返す。それは
「組手とはいえ手加減されるのは嫌いでね。それに、あたしはこれが自然体だがあんたの自然体はそれだ。お互い無手じゃフェアじゃない」
そう言って彼女は
「……………」
その意思を読み取ったレイは、無言で背中から
「――じゃ、お先にッ」
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