紅髪の異端審問官(4/7)
「でもやぁ」
と、今まで話が小難しくて会話に割り込めなかったユウが口を開く。
「教皇さんって偉い人なんやろ?やったら、そんなこそこそせんと
「そうしたいのは山々なんだけどな……」
ユウの
「いくら教皇の言葉でも、信者が
もっともやつの場合、魔族への
ディナはもう一度
「あたし達
まだ十四の少女に苦労してるんやな……という
「――でも、〈世界を救う者〉である勇者が声を
「ディナさん、その保護してる魔族と仲良えんか?」
ユウの言葉にディナは再び視線を自分の右腕に。つられてユウもその
「まぁ、な。あいつらが他の人間に見つかって殺されちまう前に、なんとかしたいと思ってる。そのためにあいつら自身の協力も必要だ。それをユウに、
「
言い直したディナにユウがうむと
「まずは
「魔族を、
その言葉にはユウのみならず他の二人も
「魔族つってもいろいろいるだろ。
考えてみれば、いや、考えなくともそれがおかしいということは分かるはずなのだ。だが、今まで人間はそれをおかしいとは思わなかった。自分達と違う姿をした者達はすべからく恐ろしい。そこに区別などない。全て
だが人は考える力を得た。理性の光が頼りなく前方を照らし、他の生き物が通ることのできない暗闇の中の細い道が見えている。その道の先には、他の生き物では
「もちろん、どうしたって分かり合えないやつらはいる。狼と羊は友人にゃあなれない。だけどあたし達は羊じゃないはずだ。争わず、平和的にこの世界で共に生きていくことができる方法がきっとある。あって欲しい。教皇は……あたしはそう思ってる」
最後の一言が少し照れくさかったのか、ディナはそっぽを向いて
「ともかく、魔族だから敵って
感心した様子でディナの言葉に耳を
「おっと!おいおい移動中に立つなよ。危ねぇぞ」
「――今の話、感動した!うち、“勇者特区”に帰ったらローティス教の教会を
すぐ間近で満点の星空のように
「そりゃいい!
大陸全土に信者を持つローティス教、その教皇の知られざる思想。魔族を滅ぼして得られる平和ではなく、
勇者がその想いを陽の光の下に連れていこうとしている。ただ彼女が現れたという、ただそれだけの理由で人々が動き始めている。世界が大きく変わろうとしている。
〈世界を救う者〉。その運命を背負う者。運命というあまりにも
だが、それのもたらす未来は決して恐ろしいものではないはずだ。ならばその流れに身を任せて、否、自分自身の意思で自分が正しいと思うことを
右手に魔力を集中、それをゆっくりと放出しながらさくらもちを
先ほどまで考えていたことはそれですっかりと
「……朝食、食べ
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