深窓の才妃(8/8)
「んー、やっぱ王妃ともなると食ってるもんの質が違うな」
と、
場所は王妃セルフィリアの屋敷一階、大きな長テーブルが置かれた食堂である。貴族などを
「そんなことが昨日あったんか。夢も見ぃひんぐらい
言いつつ黒髪の勇者もジャムを乗せたパンをかじる。向かいに座るレイから事情を聞いている間も
とは言っても、最初に少女が
「……で、
ユウの
「見たところ、ローティス教の関係者のようだが。ただの
多少
「ローティス教ってうちも知っとるで!まぁ、名前ぐらいしか分からんけど、“勇者特区”にもいつか教会作らなならんなって話したもん」
その言葉を聞いて、お、と少女は
「そりゃいい。いっそ勇者様もローティス教に入信してくれりゃ話が早いんだが」
返答に困ってユウはレイとセラを見る。
「別にそれ自体は悪いことじゃないが、それよりも、だ」
レイが視線を送ると少女がああ、とその
「あたしはディナ。ディナ・グランズ。これでもローティス教の
ディナと名乗った少女はそう言ってニッと口の
「
そうそうと
「
「
その装飾品をレイとセラが
「
もくもくと朝食を食べていたユウが
「――で、その
早々に自分の分を食べ終えたディナが指についたジャムを
「ん、勇者に会いに来たのさ」
「ユウに?」
「ユウって名前なのか。けっこう探したんだぜ」
ここまで
「“勇者特区”にいると思って行ってみりゃ、王都に戻ったっていうじゃねぇか。んで、王都に戻ったら今度は王妃の屋敷ときた。そもそも“勇者特区”の
勇者が召喚された、というのはもはや周知の事実だが、その勇者の
「王の書状……エルガス王にはすでに話は通してあるのか」
「ああ、事が事だったからな。教皇の
おそらくディナの反応こそが正常な反応。ユウのように武王の前で気の抜けた笑みを浮かべられる者は
教皇の
「何が目的?」
「まどろっこしいやり取りがないのは楽でいい。だからあたしもそうさせてもらうぜ」
そう言ってディナはセラではなくユウの方に顔を向けた。皿にこぼれたジャムをパンで
「ユウ、お前、魔族と
いや、そう思われる可能性自体は十分あり得る話だ。何もおかしくはない。だがそう言われた時に、魔族と手を
だと言うのに、この黒髪の勇者は。
「せやで?仲良ぉすんのが一番や」
と、事も
言葉を失った護衛二人。
そして、
「く、はっはははは!当然のように言うな!いや恐れ入った!その一言が言えずに、あたし達が一体何年過ごしたのかも知らないで!」
やがて笑いが
「ユウ!頼みがある!教皇領に来て欲しい!そこに、会って欲しい魔族がいる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます