深窓の才妃(2/8)
「――ということやねんけど、ばあちゃん、うちと手を
質問に
「分カラヌ」
「どんな
「……アレ以降、人間ノ感情ガ分カルヨウニナッタ……ヨウナ、気ガ、スル」
彼女にしては珍しい
「コノ人間ハ喜ンデイルノカ、ソレトモ、悲シンデイルノカ。怒ッテイルノカ、何ヲシテ欲シイノカ……分カル、ハ少シ違ウカ。想像デキルヨウニナッタ……想像シヨウト思ウヨウニナッタ……」
「それまではそうは思わんかったんか?」
相手が何を思っているか。それを考えることはコミュニケーションをとる上で不可欠な
自分は自分、他人は他人。どうしたって同一にはなれないのだから、少しでも近づくために言葉を
「娘、オ前ハ虫ノ心ガ分カルカ?」
「は?いや、分からんというか……」
分からない、というよりはおそらく精神の構造からして違う。あまりにも異質過ぎて想像することさえ難しい。異質過ぎるが
「私ハ、人間ノ考エナドマルデ理解デキナカッタ。アマリニモ違イ過ギタ。言葉ガ分カルダケ、マッタク違ウ生キ物、ソウ、思ッテイタ」
つまり、今はそうではないということ。
「今ハ、笑ッテイル人間ガ、喜ンデイルト、分カル。対話デ想イヲ伝エル事モ出来ルノダト、分カル」
理解できない存在から、理解できるかも知れない存在へと。それは
言葉が通じるのならば全ての者と意思
その壁が、取り払われていた。
「……俺にも分かるように説明してくれないか」
いまいち理解できなかった様子の騎士が説明を求めるが、
「私だってよく分からないわよ。ただ、その
魔法師は
「新しく連れてこられた
ぶつぶつと、彼女は
次いでレイの視線は勇者へ。
「なんにせよ、仲よぉなれるようなったいうことやなぁ」
気の抜けるような
ユウの持つ勇者の力とは、どのようなものなのか。
と、一同に
「あ、皆さまこちらでしたか。少しよろしいでしょうか」
警備兵は
「勇者様
「リンちゃんが?」
ユウがはてと首を
リンちゃんことリンシア姫はこの“勇者特区”が存在するラドカルミア王国の王女である。ユウと
「はっ、リンシア姫のお母上……
「王妃……リンちゃんのママか」
そこでふとユウは思い出したように、
「そういえば王宮にいたころ、王様には会ってるけどお
「王宮とは別に、王都の外れのお屋敷に住んでおられるのよ。あまりお
セラの説明にユウはなるほどなぁ、と
「話って、なんやろ」
「さぁ……具体的な内容まではお聞きしておりません。あ、それとリンシア姫から追加の言伝が」
人の
「
その一言でユウが
「そういえばしばらく戻ってなかったな」
“勇者特区”を設立した初期は王宮にいる
「ほな、ちょっくら戻るか!」
勇者の決定に護衛二人が
「ばあちゃん、うちらがいいひん間、ここの事
勇者がいなくなったとしても、もはや彼女らが人間に
こうしてユウ達は、
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