第151話姉・弟妹喧嘩
「レーナさん、これからどうするんですか?」
とりあえず『ベルゼンストック市』の民衆に対してのプロパガンダを終え、ある程度の周囲に居たプレイヤー達を間引いたところでユウさんに質問されてしまいましたが……これからですか、そうですね……。
「……免罪符を得たので少し八つ当たりをしに」
「八つ当たり?」
そうです、これは八つ当たりです。何も知らずに生まれて来た彼らに、何か落ち度がある訳でもありません。ましてや母の死因となった訳でもありません……『普通』なら何も悪くない彼らを責める私の方が悪いのでしょう。でも──
「──許せない」
「え?」
どちらが悪いとか悪くないとか、理不尽かそうでないだとか、責める相手が間違っているとかそんなの一切
「えぇ、少し……許せないので……」
彼らが彼らで無ければ……彼らが赤の他人であったならば、手を伸ばされて嬉しくなったかも知れません。ユウさんやマリアさんの他にも友人ができて母が喜ぶかも知れないと。……でも無理なんですよ。
「あなた達は」
「「……」」
「ふん」
目の前に現れた三人組を視界に入れて立ち止まる。ユウさんとマリアさんが全然話についていけてませんね、申し訳ないです。でも今の私に余裕はあんまり無いので許して欲しいですね。
「そこの二人組!」
「あっ、え、僕?」
「モジャ頭とチビよ! アンタ達以外に誰が居るのよ!」
「誰がチビよ?! アンタも同じようなものじゃない!!」
えーと、確か……ブロッサムさん、でしたか? 私の事を知っていて邪魔をして来たあの少女ですね。彼女がユウさんとマリアさんになんの用があるというのでしょう?
「いいから、こっち来なさい。部外者は離れるわよ」
「えぇ……僕、混沌二位に目をつけられるような事したかなぁ?」
「……ユウは割と目立ってる気がするよ?」
あぁ、なるほど……余計な気を利かせたつもりなんですかね? ですが二人だけではすぐに終わってしまうと思いますがね……いったい何を企んでいるのでしょうか。
「とりあえず、そこの二人とレーナさんが用事あるっぽいし……離れる?」
「そう、だね……レーナさん含めて普通の雰囲気じゃないし」
まぁ、そうですね……ユウさんはともかくマリアさんにはショックな絵面になるのは間違いないですし、離れていて貰った方が良いですかね。……そんな心配は今さらではありますが。
「マリアさん」
「わひゃい! な、なななんでしょう?!」
「? 花子さんが合図を出したら私達の上空にデカい花火をお願いしますね?」
「ひゃい! 了解致しました! …………顔、近っ……顔、綺麗っ……(小声)」
マリアさんの肩に手を置き呼びかけただけですのに……何をそんなに驚いているのでしょう? ……まぁユウさんと同じく、マリアさんの奇行もいつもの事ですし放っておきましょう。
「では行って参ります!」
「あー、レーナさんも気を付けてね?」
「……なんなのよ、この二人」
さて、ブロッサムさんの企みに乗ってみましたが何が起こるのでしょうね? まさか本当に余計な気を利かせただけな筈はないでしょう。でなければ即座に双子はリスキルコースです。
「……友達、居たんですね」
「……」
……ダメですね、声を聞いただけで気が動転してしまいます……私の心はそこまで弱かったのでしょうか? それとも母とあの男を同時に連想させる彼らが弱点なだけなのでしょうか? ……母が生きていたら教えてくれましたかね。
「……人と、普通に話せるんですね」
「お義姉様の普通の表情……初めて見ました」
「……」
なんですか? 私がただの人嫌いだとでも? 間違っては居ないかも知れませんが、正しくもありません……戦いの前の口上としては赤点ですね。
「家ではいつも避けられてて、義姉上のこと何も知らない……なんで避けられているのかも良く分かってない……」
「たまに会う時の張り詰めた笑顔と歪な無表情しか知らなかったです」
「……何が言いたいんですか?」
右手で短刀を抜き去り、左手に
「……会話してくれるんですね」
「少なくとも無視はされなくて安心しました」
「……それで? 会話ができたからなんだと言うのです?」
説得? 仲直り? それとも私に謝罪でも求めますか? 確かに彼らに非はないのに一方的に距離を取り、八つ当たりする私の方が許されないというのが『
「いいえ、本当に……ほんの少しだけですけど、嬉しいだけなんです」
「……そんなに警戒しなくても大丈夫です。お義姉様に謝罪させようだとか、説得しようだとかは考えていません」
では仲直りを狙って? 直す仲なんて最初からありませんが……言葉を尽くせば私が仲良くあなた達を『家族』として認めるとでも? ……私の『家族』は母だけです。
「「ただ
言葉を発しながら彼が刀を抜き、彼女が数歩距離を取って弓を構える。
「「──少し
飛んでくる数本の矢を左手に持った毒針を投擲することで弾きながら、手加減なしで殺意の乗った、こちらの首を狙う軌道の刀を短刀で受け止めます。……なるほど、良いでしょう。少しだけ『
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