第146話モグラ叩き
「死ねい! ジェノサイびゃぁぁぁぁああぁぁああ?!」
「ぶぇっ!!」
マンホールから出てきたプレイヤーの一人に強酸性の薬品を掛けて顔を焼き、後続がつっかえている間に横の水路から飛び出して来た方の喉に長針を投擲して殺します。
「退け! ポーション掛けてぁぁぁぁぁああぁぁぁぁああああああああああああ??!!!」
建物の屋根から飛び降りて来た短剣使いの落下攻撃を半歩下がって身を反らし、躱しながら手首を掴んで影で作った刃を纏わせた膝蹴りを首に喰らわせてから出来上がった死体に爆薬を仕込みマンホールへと投下します。
「シッ!」
マンホールから反響する断末魔の叫びを聞き流しながら駆け抜け、途中の十字路の左右から槍使いが二名突撃して来ます……恐らく待ち伏せされていたのでしょう、それを膝を曲げ、背を反らして滑るように避けながら彼らの心臓へ鉄杭を投擲……結果を確認せずに、折り曲げた膝を伸ばし、つま先で地面を蹴ってバネのように跳躍しながら糸を伸ばして一気に屋根へと躍り出ます。
「ハッ!」
屋根に足を着けると同時に飛来してくる投擲ナイフと魔術などを弾き、斬って、躱し、第一波を凌ぐと次が来る前に飛来した場所それぞれに爆薬を投擲しながら建物の間にかかる洗濯紐の上を飛び渡り、その場を離れます。
「死ね!」
「ずっとお前のことは鼻についてたんだよ!」
横から突き込まれる短剣を急ブレーキを掛ける事で躱し、前方に見える短剣使いの手首を右手で握り潰しながら肘裏に左手を添え、彼の胸を背中で担ぐようにして後ろ足で蹴り上げて反対側から向かってくる大剣使いに背負い投げます。
「バッ──」
「しまっ──」
フレンドリーファイアで身体の上下が分断された短剣使いの方を隠れ蓑に、背負い投げをした体勢のまま腰を低くした状態で大剣使いの懐に潜り込み、その心臓を短刀で貫きます。
「っ! ……おー」
遠くの方で数秒の間周り全ての音を消し去る爆音が上がり、急いでその方角に視線をやれば……巨大な青白い火柱が噴き上がってますね? おそらくアレはマリアさんでしょう、彼女は前のイベントで秩序二位でしたから狙われているのでしょう。
「な、なんだ?!」
「さっきから渡り人共が……」
さすがにこの騒ぎです。街の住民たちも異変に気付き、にわかに騒ぎ始めましたね……せっかくこの街で良いイメージを持っているのですから、それを利用して建国に協力して貰おうとしている身としてはあまりこの騒動に関わっているとは思われたくはないですね……。
「……とりあえず一旦マリアさんと合流しますか」
こんな狭い路地でマリアさんの様な高火力の方と共闘は戦闘スタイルが違い過ぎますし、避けるべきですが……民衆に対する工作に彼女のカルマ値は利用できますし、どうせユウさんも一緒に居るでしょうから丁度良いです。
「それはそれとして──」
下から長剣を振り上げて来る男性の首をつま先に生やした影の刃で掻き切り、上から斧を振りかぶってくる男性には掌に刃を生やして顎に掌底を叩き込みます。そのまま二人の死体に花子さんと武雄さんの卵を産み付け、適当な路地に放り込みましょう……そのうち孵化して街中でも下僕が出来るでしょう。
「──あの二人は見つけ次第、殺します」
建物を飛び渡り、水路に阻まれた端に辿り着きましたので下から登ってくるプレイヤーの皆さんに強酸性の薬品をぶっかけながら飛び降ります。
「ポン子さん、スケボーになれますか?」
『……!』
「そうですか、ではお願いします」
狭い通路や水路で二輪車は難しいですからね、ポン子さんにはスケボーに変形して貰ってからそれに乗り、影山さんの『影操作』と井上さんの『物質化』によって道を作って火炎魔術の《噴射》によって勢いを付けて水路の真上を滑っていきます。
「ジェノサイダーが滑ってる……」
「また何か新しいことしてるよ……」
短刀に影を纏わせ大太刀へと変え、射程を伸ばして飛来してくる攻撃や突撃してくるプレイヤーの方々を斬り伏せていきます……前方から飛んでくる方をそのまま左右に断ち切り、上空左右から飛び込んで来た四人をそれぞれ張り巡らした糸で絡め取り、首に巻き付けた糸を手繰り寄せて引っ張って絞め殺し、水路の中から飛び出てきたプレイヤーを下から大太刀の逆袈裟の一撃で葬り去ります。
「追え!」
「逃がすな!」
「……逃げませんよ」
風圧で上がる水飛沫を受けながら影の道を上へと曲げ、一回転するように道を作り上げて背後から放たれた魔術を避けながら上下逆さまに見える彼らの驚愕の表情を浮かべる顔を横目に両手を広げ、束ねた糸を展開して彼らの首を纏めて断ち切ります。
「せいっ!」
ポン子さんから足を外し、頭から落下する空中で胴体と別れたプレイヤー達の頭をカポエイラのように蹴り飛ばし、飛来する魔術による炎や雷、スキルによる遠距離からの斬撃や拳に対してぶつけて相殺します。
「よっと……シッ!」
そのまま空中で半回転して上下を戻し、足元に来たポン子さんに再び飛び乗って周囲に火薬玉と毒煙玉をばら撒きながらその場を離れます。……それにしてもプレイヤーの数が多いですね?
「……いったい、どれほどの方が参加しているのでしょう?」
果たしてこの中からあの二人を見つけ出す事が出来るのか……少しだけ何か考えが必要そうだと思案しながら水路の上を滑り続けます。
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