第103話白昼堂々

「一応聞きますけどここで合ってます?」


「……答えるわけないじゃない」


王太子派の有力貴族の屋敷が見える樹上で王女様に聞いてみますが顔を背けられましたね、残念です……まぁ仕方ありませんけどね。


「そんなに話したくないのなら構いませんよ?」


「……え? がぼぉっ?!」


王女様の口へと花子さんを突っ込み声を奪います。そのまま喋れなくなった彼女を伴ってガヴァン……でしたっけ? 爵位は確か侯爵の屋敷の正面玄関へと鉄球を《流星》で投げ込み爆破して道を開くと共に毒をばら撒きます。


「敵襲ー!!」


そのまま堂々と跡形も無くなった正面玄関から乗り込み上の階へと爆薬を投げ飛ばして風通しを良くしていきます。


「貴様! ここをガヴァン侯爵の屋敷と知ってのぶぇっ?!」


啖呵を切る兵士の口の中へと指弾でガラス片を投擲して喉を貫いて殺し、正面の大きな階段から駆け下りてくる一団に向かってシャンデリアを糸で巻き付けて叩き落とす。


「ぎゃっ?!」


「気を付けろ! 相手は遠距離主体だ!」


吹き抜けの二階の廊下に整列して弓に矢を番える弓兵には光量重視の爆薬を投げ込んでとりあえず目眩しをしてから、そのまま糸を巻き付けたままのシャンデリアを振り回し二階から叩き落としていきます。


「近接戦闘で仕留めろ!」


正面から投げ込まれた槍を裏拳で弾き飛ばし、向かってくる兵士に毒針を投擲して眉間と喉、心臓を貫いて間引きます。


「……っ!」


「? ……あぁ、王女様には花子さんが付いてますから大丈夫ですよ」


こちらを怯えた目で見てくる王女に向かって、被害がそちらに行くことはないと伝えますが……。


「……っ!」


「? 何を伝えたいのかわかりませんね……」


どうやら違うようですね……ですが何が言いたいのかわかりませんので今は捨て置きましょう。……前方から斬りかかってくる兵士二人を頭を下げて回避しながら顎を掴んで握力で粉砕します。


「ガピャッ?!」


「ガフッ?!」


そのまま地面へと後頭部から叩き付けて頭を潰し、持っていた長剣を二本投擲して上の階の部屋から慌てて出てきた聖職者と偉そうな使用人へと投げて頭をカチ割ります。


「……待て、近接も強いぞ?」


「マグレではないのか……?」


こちらに突撃するのを躊躇う彼らに向かって今度はこちらから吶喊します。最初の踏み込みで足下に《噴射》を施して初速を上げ、一番前にいた方の首を右手で持った短刀で貫き、そのまま引き摺りながら一団の真ん中へと躍り出て左手で操作した鋼糸を周囲に一斉に伸ばし、花開く蕾の逆再生のように丸めて圧縮することで彼らを切り刻みます。


「ヒッ?!」


「う、撃て! 撃て!」


喉を短刀で貫いた方を降り注ぐ矢を防ぐための傘として、丸めて固めた糸に火薬と少しの熱で発火して気化する毒と酸を混ぜ込み、糸同士を擦り合わせ摩擦熱を生みながら投げ込む。


「ぎゃあっ?!」


「熱い熱い熱い!!」


「ヒュッー……ヒュッー……」


爆発の余波で既に放たれた矢を吹き飛ばし、気化して空気中に漂った毒と酸を吸い込み身体の中から焼かれる痛みに悶え苦しみ、兵士の大部分の無力化に成功します。


「……よもやここまでとは」


「お館様は?」


「……それが、裏口まで全て糸で固く閉じられていてしばらく時間がかかる」


「そうか……」


侯爵が逃げられるか、異変に気付いて騎士団が派遣されてくるまで全力で時間稼ぎをするつもりなのか生き残りの位の高そうな兵士たちが覚悟を決めた表情をしますが……皆さん本当に職務に忠実ですね?


「殺すつもりでいくぞ!」


「あぁ!」


首を狙った長剣の一撃を糸を相手の腕に絡めることで寸止めし、脚を狙ったものは踏むことで防ぎ、上から槍を構えて降ってくる相手の額に向かって鉄片を投擲して無力化し、降ってくる死体は無視して槍を掴み、私に踏まれた長剣を引き抜こうとしている方のうなじに突き刺す。


「ぐぐっ……がっ?! …………あ、あぁ、ァァガカァァァカァァイ??!!!」


目の前の糸で絡め取られた方は新薬の実験になってもらいましょう……頭から試験管に入れていた溶液を垂らしていきますが皮膚を透過して見事に萎んでいきますね? 耳裏から顎にかけて短刀で切れ込みを入れて生皮を剥ぐとちゃんと筋繊維のみを溶かしています、成功ですね。


「き、貴様ァ?!」


もう使えなくなった兵士の方を捨て置いて前方から突き込まれる槍を前進しながら首を左に傾けて躱し、その一撃を放った兵士の喉仏を槍越しに殴りつけ、頭が前方に倒れたところで親指を立てて下顎から口内へと突き破ります。


「びやっ?!」


親指を突き入れたまま人差し指と中指で喉仏を上下に挟むようにして突き込んでから拳を握り込むようにして抉り取る。


「──っ?! ──っ?!」


「ふふ、栓の抜けた噴水みたいですね?」


首を押さえますが指の隙間から断続的に血が緩く、水鉄砲のように噴き出しのたうち回る兵士さんを見て『新しい遊び方を発見した』と思わず自画自賛してしまいます。


「……っ」


「あ、悪魔……ぎゃっ?!」


「はい、お仲間のですよ」


失礼にもこちらに向かって悪魔などと宣う兵士に向かって先ほど採取した喉仏を指弾で飛ばして片目を潰します。


「あ、死にましたね? 結構時間がかかるようですね、面白いので良いですが」


先ほどまで血が噴き出す首を押さえて痙攣していた方が二度ほど跳ねてから動かなくなりましたね、まるで人間が水揚げされたばかりの魚のようで面白かったです。


「さて、まだまだやることがありますし時間もあまり無いのでそろそろ終わらせますか」


「『っ?!』」


新しい流派かなにかでしょうかね? 手に持つ武器を細かく震わせながら、視線を読ませないようにあちらこちらを泳ぎ見る……というよりただ単純に恐怖しているだけですか、これは?


「……もっと勇敢に楽しませてくださいよ?」


「ヒッ……!」


「い、嫌だ……あんな死に方はしたくない……」


「? リクエストですか? わかりました」


「え……」


どうやら喉仏は取られたくないようなのでその方の腹を裂いて腸を引き摺り出し、蹴飛ばします。


「ァァァアアアアアア?!!!」


「大丈夫ですよ、腸が飛び出てもすぐには死にませんから」


なるべく長く生きたくて喉仏は嫌だとのことでしたからね、これが良いのではないでしょうか?


「『……』」


「……他の方はリクエストがないみたいなので、もう行きますね?」


「ぁ……」


次はどんな『遊び方』を模索しようかと、思案しながら黙りを決め込む残りの兵士に向かって再度突撃します。


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