第62話第一回公式イベント・六日目その2
まさかここまで楽しめる『遊び』を提供してくれるだなんて予想外もいいところですよ、もう知らないスキルとかも出てきてどんどんテンションが上がってきます。
「ッシャア!! 」
振り下ろされた斧によって爆音と共に大量の雪が舞い上がり視覚と聴覚が封じられる。
「フッ! 」
「シッ! 」
雪の白い壁を隠れ蓑に右側から首を狙った長剣の一撃を短刀の刃先を滑らせ鍔で受け止め、それを囮に背後から突き込まれた槍を左脇で挟み込みそのままバックステップで剣士から距離をとりつつ槍使いに接近し振り向きざまに右目を殴打します。
「ガっ!? 」
槍使いの鳩尾に膝蹴りを喰らわせ、雪山の斜面から落としてから背後から迫る長剣の突き込みを逆手に持った短刀を表面を滑らせることで受け流しつつそのまま踏み込み伸び切った相手の腕を手首を掴んで捻り肘に膝蹴りをすることで逆関節に折る。
「があぁ?!! 」
「オラァッ!! 」
「《ハイエンチャント・インテリジェンス》《五連爆裂》」
横薙ぎに振るわれた斧をバク転で躱しながら空中で毒針を投擲してから着地をしつつ、迫る魔術をそのまま斜面を滑り下りることで避ける。
「せいっ! 」
下から繰り出される槍の一撃を上を駆け抜けることで避けながら槍使いの顔面に飛び膝蹴りを加え、そのまま顔を足場にさらに跳躍、そこを狙ってスキルのエフェクト付きの矢が連続して迫りますが麻布さんの『暴風魔術』の《ダウンバースト》と山田さんの『火炎魔術』の《豪炎》の複合によって全て叩き落としながら向こうからの視界を塞ぎ、《マーキング》で捕捉した神官の女の子と魔術師のお姉さんに鉄球を砲弾のようにして投げ飛ばす!
「っ! 《聖壁》! …………うぅ、きゃあ?! 」
防壁を張られたようですが二発は耐えきれなかったようでその防御を抜いて後衛二人を始末することに成功します。
「ちくしょうがぁ! 《戦塵大瀑布》!! 」
「……おっと! 」
「ま、待て! 」
ハンネスさん……? が半ば飛び降りるように斜面を駆け下りながら放ってきた大技を槍使いの襟首を掴んで投げ飛ばすことで盾にします、ついでに火薬玉を投げて少しでも勢いを削いでおきましょう。
「……馬鹿! 」
「シィ! 」
槍使いさんが消えていくのを尻目に飛んでくる矢を弾き、いつの間にかすぐ横にまで滑り降りてきた剣士の脇下からの一撃を背を反らして躱し、そのまま胴体を捻り心臓を短刀で貫きます。
「ごふっ!? 」
「ライン!!? 」
そのままリスポーンしていく数秒の間に剣士の足首を掴み、雪山の斜面を滑り降りながら大量の爆薬を仕込み『投岩』スキルの《流れ星》によって山頂付近に投げ飛ばす。
「いったいどこに──っ?!! 」
剣士だった物が雪山の上層で盛大に爆発したあとその衝撃によって雪崩が起きる。
「ミラ!!? 」
「…………不味い」
すぐに退避しようとする弓使いの周りに爆薬入りの鉄球を投げ込み邪魔をしましょう。
「ミラ! 早ァァァく!! 」
「ハンネ──」
「クソがァ!! 」
弓使いさんが雪崩に巻き込まれたのを確認した後はハンネスさんとの一対一ですね、いや〜本当に楽しかったですよ? ちゃんと有言実行しますし、見たこともないスキルなどで強化されますし、パーティーの連携なども最高レベルでしたしね……このまま終わるのは少々勿体なく感じてしまうほどです。
「さて、あとはあなただけです──」
「──《宣誓・俺はあらゆる難敵に屈さず打ち勝つ者》!! 」
「…………ふふ、」
「《宣誓・俺は仲間が倒れようともその勇姿を魅せ続ける者》!! 」
「ふふふふ……あっはっははははは!!! 」
まさかまだ《宣誓》スキルまで隠していたなんて!!
「本当にあなたは私を楽しませる『遊び』を提供してくれますね?!! 」
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種族:人間
名前:ハンネスLv.55《+10》
カルマ値:91《善》
クラス:戦斧使い セカンドクラス:剛力騎士 サードクラス:大地魔術師
状態:
宣誓:
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「…………ここからは短期決戦だ! 」
確かにそうですね、上から雪崩が迫ってきてますし《宣誓》スキルのデメリットでHPも長く持たないでしょうからね。ならば私もそれに乗ろうじゃないですか!
「えぇ、そうですね……《自己改造・凶気薬》!! 」
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種族:人間
名前:レーナLv.44《+20》
カルマ値:-211《極悪》
クラス:殲滅者 セカンドクラス:魔統師 サードクラス:凶薬師
状態:
凶気薬《STR上昇:特大・AGI上昇:特大・INT上昇:特大・VIT減少:特大・猛毒状態:常時HP減少:2%/5s》
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「へっ、まだあったのかよ? 」
「ふふ、これで正真正銘最後ですよ? 」
えぇ、もうこれで最後ですし他のプレイヤーか観察しているであろうことなんて関係ないです。今この『最高の遊び』を全力で楽しまないなんて選択肢は私にはありません。
「どうだかな! 」
「ふふ、どうなんでしょうね! 」
抑えきれない高揚感をそのままに、互いにその顔に凶悪な笑みを浮かべて獲物を最高の相手に向けて振りかぶる!!
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