第61話第一回公式イベント・六日目

「大分引き離されたようですね……」


あれからユウさんを追い掛けましたが全然見つからず日にちを跨いでしまいましたね、凄いスピードでしたからね、アレは。


「とりあえずこの辺にまだ居るはずですが…………」


マップの表示を見る限りではまだ雪山フィールドで立ち往生しているみたいですしこのまま追い詰めて​──


「っ! 」


「…………やっと会えたな? 」


「あぁ、あなたたちでしたか…………」


いきなり矢が飛んできたのでそれを弾くとハン……ネスさんたちのパーティーがそれぞれ得物を構えて現れましたね、有言実行だなんて評価高いですよ?


▼▼▼▼▼▼▼


「まさか忘れてねぇだろうな? 」


「ちゃんと覚えてますよ、ハン……ネスさん」


「おいてめぇ! 今危なかったろうが! 」


「……(フイッ」


道中の有象無象を薙ぎ倒しながらひたすらコイツを目指して進んできたってのに……まぁ、俺の顔と少し危なげだが名前を覚えてもらえたのは最初の頃に比べれば前進もいいところだが…………そっぽ向いてんじゃねぇよ!


「……なに二人でコントしてんのよ」


「確かに」


「う、うるせぇ! 」


「? …………?? 」


エレノアとミラに呆れられるがそんなつもりはねぇよ! っていうかなんで当人でもあるお前がわかってねぇんだよ! 元はと言えばお前がちゃんと名前覚えてれば良かったんだよ!!


「ええぃ! いいからやるぞ! 絶対に今度こそ勝つ!! 」


「はぁ……そうだな」


「勝って言いたいこと言います! 」


「じゃあ僕は連絡先聞こうかな? 」


「あれ、これ勝った側が何か要求する流れですか? …………私は何にしましょう? 」


「『…………』」


クッソ! 本当に調子が狂いやがる!! そういうんじゃねぇだろ! もうこれ以上はドツボにハマるな……無視だ無視! そう考えながら戦斧を、みんなもそれぞれ得物を構える。


「……………………ぜぇい!! 」


まず斧の横薙ぎの一撃で先制するが……この雪の積もった山という足場の悪い場所で側転をし長針を投擲してきやがる!


「気を付けろ! こいつの投げる物は全部毒だと思え! 」


「わかって……っる! 」


奴が投擲した物を寸分違わずミラが弓矢で撃ち落としていく、相変わらず良い腕してやがる。


「おぉ、すごいですね? 」


「よそ見してんな! 」


「隙がある女の子も好きだよ! 」


思わずと言った様子で称賛する奴の着地狩りを狙い、ケリンと共に武器を突き込み振るう。


「ふふっ」


「『っ?! 』」


突き込まれたケリンの槍を蹴り上げ斧の一撃を短刀を表面に滑らせながら流されて凌がれる……それどころか二人して腹に一発いいの貰っちまった。


「《中癒》! 」


「《紅蓮剣》! 」


それを見て即座にチェリーから回復とラインのリカバリーが入る。それを受けて短時間で態勢を立て直し前線に戻る。


「おらっ! 」

「ふんっ! 」

「シっ! 」


振り下ろした斧を半回転で躱され振り払われる長剣を短刀の柄で弾きながら突き込まれる槍を掴み取り引き寄せケリンの顎をそのまま蹴り上げる…………足先が頭より高いところまで上がってやがる、ほぼ垂直じゃねぇか……。


「ハッ! 」


そんな奴に対して振るわれた長剣を片足を軸にして回転し背中向きにラインの懐に潜り込み手首を逆関節に折り長剣を掴み取ってその柄で鳩尾を殴り付ける。


「がぶっ?! 」


「てめぇ! 」


二人を助けるために斧で奴が奪った長剣をかち上げ取り返すと共に振り下ろして距離を離す。


「丁度いいわ! 《爆裂火炎・豪》!! 」


「《雷鳴驟雨》!! 」


後ろに大きく跳躍して退避した奴にエレノアとミラの範囲攻撃が殺到するが​──ありえないことにそれらを全て捌いて凌いでやがる…………本当に人間か? だがそのおかげで時間は充分稼げた!


「……待たせました! 《呼応共鳴・慈母献身》」


「よっしゃ来たぁ! 」


ユニーククエストで習得したチェリーの全体強化スキルの効果によって全ステータスと強化効率が上昇し、リジェネ効果まで付与される。


「《ハイエンチャント・アースエンブレス》! 」


「《ハイエンチャント・ルインストーム》! 」


「《ハイエンチャント・グローリープロミネンス》! 」


「《ハイエンチャント・シャープライトニング》! 」


「《付与全体化》《炎熱守護》」


間髪容れずそれぞれ自身に強化を施し、エレノアが効果は下がるが一気にパーティー全体に付与をかけれる魔術を併用し俺たちに炎熱耐性と防御力上昇の強化をかけてくれる。


「このまま一気に​──」


「​──《身体強化・虐殺器官》」


「『っ?! 』」


あの野郎! アレクセイ騎士団長と似たようなスキルを習得してやがったのか?! やべぇぞ!!


「《精神感応・魔統》《ハイエンチャント・グローリープロミネンス》《ハイエンチャント・ルインストーム》《ハイエンチャント・ダークネスアビス》《ハイエンチャント・ライトディヴォーション》」


「っ! やべぇぞ! もっと強化と付与よこせ! 」


「は、はい! ……《付与全体化》《ハイエンチャント・フィジカルパワー》《ハイエンチャント・フィジカルバリア》《神聖守護》」


「なんなのよこの子!? 《付与全体化》《ハイエンチャント・アクセラレータ》《炎熱攻勢》」


「《ハイエンチャント・フィジカルパワー》《ハイエンチャント・フィジカルバリア》《ハイエンチャント・アクセラレータ》」


まだ強化しやがるのか?! 一人でどんだけ魔術を修めてやがる!!? こちらがパーティーで相手がソロってことを踏まえてもこの強化率はやべぇぞ…………。


「…………これは少し不味い、かも? 」


「かもじゃなくて不味いねぇこれは……」


「まだ隠してたのか……」


みんながボヤくのも仕方ないだろうこれは……アレクセイ騎士団長の強化後のステータスから考えて、勝てたとしても全員生き残るのは無理だなこれは…………。


「…………それでも俺は勝つ! 」


「ふふ、そう来なくては……」


今一度自身に活を入れ憎たらしく微笑む奴に仲間と共に切り込んでいく!!


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