第14話暗躍その2
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《レベルが上がりました》
《既存のスキルのレベルが上がりました》
さて、いきなり襲われたのを返り討ちにしたところでもう一回お願いしてみますかね?
「今度は素直に話を聞いてくれますか? 」
「……あぁ」
質問をしつつ襲ってきたうちの1人を解体して遊んでいると、素直に頷いてくれました。最初からそうしてくれると手間がないんですけどね?
「うわっ、意外と腸って白っぽいんですね……」
「頼む、話をするしできるだけ便宜を図るからそれ以上俺の部下を痛めつけるのはやめてくれ……」
「? 痛めつけ? ……まぁ、はい遊ぶのはやめて話をしましょう」
「…………助かる」
そのまま今度こそ奥の部屋に案内されます。途中ボス(暫定)の護衛でしょうか? 何人かついてきますが、みんな一様に私を化け物でも見る目で見てくるんですよね…………父を思い出すので殺したくなります。
「………お前ら客人をジロジロ見るんじゃない」
「『すいやせん』」
さすがここのボスですね、気が利きます。これは人事査定プラスですよ。
「ここだ入ってくれ」
「お邪魔します」
通された部屋は路地裏から行ける場所にあるとは思えないくらい清潔感に溢れ、調度品もそれとなく部屋を彩り上品な感じでした、無駄に飾り付けてないのは評価高いです。
「そこに座ってくれ」
「では遠慮なく」
おおう、沈むようなこの感触...そしてどこからか現れた女の人が紅茶とお茶菓子を出して下がっていきます。
こういったところからムーンライト・ファミリーの財力が窺えますね、反社会勢力ってやっぱり儲かるんでしょうか?
「それで話ってなんだ? 」
「この街の領主になりませんか? 」
「……………………すまん、よく聞こえなかった。もう1回言ってくれるか? 」
おや? ちゃんと喋ったつもりだったのですが…………。
「……削ぎましょうか? 」
「ま、待ってくれ! 聞こえてた! 聞こえてました! 」
いきなり冗談を言うだなんて。
「意外とユーモラスなんですね? 」
「ハハッ、そうだろ? 」
でもあんまり言い慣れてなさそうですね、笑顔が引き攣っています。
「そ、それで領主にならないかとは? もっと詳しく説明してほしい」
「そうですね。実は私、表で盛大に暴れて指名手配されちゃったんですよ」
「…………お前だったのか(ボソッ)」
「そうなると表で堂々と買い物もできませんし、施設も利用できません。実際に宿に泊まるのに主人の指が2本犠牲になりました」
「……」
「『遊び』なら別にいいんですけど、そんな気分じゃないのにしないといけないのは楽しくないと思うんです、時間も無駄にとられますしね」
「…………」
「なので、この際ですから自分に都合のいい傀儡を作ろうかなと思いまして、どうです? 」
「…………待ってくれ、俺一人で判断できることじゃないしすぐには決められない。お前さんが本気で言ってるのもわかるが時間をくれ」
「そうですか、それは残念ですが待ちましょう……ただし期限は一週間後です」
「わかった」
時間はかかるそうですし、本当に渋々といった感じですが引き受けてくれました、良かったです。
「あとそれともう1つ」
「……まだあるのか? 」
「えぇ、まだあるんです。できれば性能のいい装備品や調薬に使う道具と素材が欲しくてですね」
「地下の倉庫にあるのを好きなだけ持っていってくれ……」
おお、太っ腹ですね! これは好感度高いですよ?
「それは嬉しいですね、ありがとう存じます」
そう言って席を立ち早速向かおうとしますが──
「待ってくれ、最後に1つだけ聞かせてくれ」
「? なんですか? 」
「お前さんは待っている一週間、どこでなにをするつもりだ? 」
そうですね、ポッカリ日が空いちゃいますもんね、何をしましょうか?
「うーん……そうですね、ヤガン・ファミリーでも潰しといてあげますよ、報酬の前払いってことで」
「……そ、それはありがたいがまだ協力するとは決まったわけじゃないぞ? 」
「…………断るんですか? 」
あれ? あれれ? 良い雰囲気で終わったと思ったのに私の思い込みですか………残念です、本当に残念ですが──
「──次のあなたに期待しましょう」
──そう言って短剣を振りかぶります。
「ま、待ってくれ! 協力しないとは言ってないだろ?! 絶対協力するように上に掛け合うから! だからお願いだ! 」
「やっぱりボスじゃないじゃないですか、いっても幹部あたりですかね? まぁ、協力してくれるなら興味ないですが……」
「う、嘘は言ってない! 」
「知ってますよ、まぁいいです……一週間後、楽しみにしてますね? 」
そう言って私は部屋を出た後、地下の倉庫に赴き中に納められていたものを根こそぎ持って帰ります。
地下倉庫まで案内してくれた人は顔を引き攣らせてましたが、文句を言ってくることはありませんでしたね。
今日はここら辺でログアウトしましょう。明日からは調薬スキルのレベル上げと並行してヤガン・ファミリーを潰していきます。
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「……兄貴良かったので? 」
「……仕方がない、俺もお前もまだ死にたくないだろ? 」
「それはそうですが……」
たった今まで話していた相手がいなくなり、ドッと疲れが押し寄せてソファーの背もたれに凭れかかる俺に部下が心配の声を掛けてくる。
それに対して返事をしながら、このことをどうやってボスと他の幹部連中に説明し、協力を取り付けるか頭を悩ませていると、女を案内していた部下の1人が帰ってきた。
「兄貴……」
「奴の様子はどうだった? 」
「終始機嫌が良さそうに鼻歌歌ってましたよ」
「……そうかい、羨ましいもんだぜ」
こっちはお前のせいで胃が痛いってのによ…………。
「それで? 奴は何を持っていった? もちろん確認してたんだろ? 今は少しでも奴の情報が
欲しい」
「それが……」
「……なんだ? まさか確認し忘れたわけじゃねぇよな? 」
歯切れの悪い部下に苛立ちながら問い詰める。
「そういうわけじゃなくてですね、その……」
「なんだ、勿体ぶらず早く言え」
「…………そぎ」
「あ? 」
「根こそぎ持っていきました……」
「…………なんだって? 」
「ですから倉庫の中に納められているものを根こそぎ、それこそ明かりを灯すための燭台まで全部…………」
そうして俺はあまりのストレスに気絶した。勘弁してほしいぜまったく………………。
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