抗争

 僕の正体が滝ヒロシであることを知られるわけにはいかない。

 僕は梶から埼玉のギャングを壊滅するように命じられていた。

 梶に状況をLINEで報告したら埼玉は別の人間に任せるとのことだった。


 広域暴力団伊賀組の友好組織・甲賀組が、水戸の竜王組と抗争になった。そこで伊賀組組長の伊賀勝己とその幹部の桐生は、甲賀組傘下の九鬼組組長の九鬼に、「伊賀組がまずいことになってるから力を貸してくれ」と命令する。過去に大阪での抗争で若衆を3人失っている九鬼は乗り気で無いものの、「竜王組を潰してくれたら不老不死の薬の在り処を教える」という伊賀勝己の言葉を信用し、手下を連れて水戸へ向かう。


 数日後、水戸にやって来た九鬼達は昭和天ぷら粉のビルの近くで竜王組に銃撃を受けて多数の組員を失う。

 抗争が想定以上に深刻な事態となっていること悟った九鬼達は市街から離れ、つくばの片田舎にある甲賀組の隠れ家ヘ避難する。やるべきことが見つからぬまま、暇を持て余した九鬼達はファミコンソフト『スーパーマリオブラザーズ』で遊んだ。


 そんなある日、伊賀勝己より部下の桐生がつくばに来ていること、彼が研究所を壊滅させてロボを盗もうとしていることを聞く。その直後に甲賀組は何者かの手によって壊滅し、キャバクラで豪遊していた九鬼達も襲撃される。次々に消されていく仲間を見て不審に思った九鬼は、桐生が宿泊しているホテルに向かう。エレベーター内で鉢合わせた高橋桐生は、伊賀や九鬼の仲間を消した殺し屋を連れていた。

 激しい銃撃戦の末、殺し屋を始末した九鬼は桐生を笠間の廃ビル連れ出す。九鬼は長時間トイレに行かせないという激しい拷問の末、桐生は事の真実を全て白状した。

「尿毒症になるかと思った」


 実は伊賀組は大阪との抗争に備えて、竜王組と手を組もうと考えていたのだ。だが兄弟分でもある甲賀組が竜王組と抗争をしていたため、なかなか手を打つ事ができなかった。そこでその抗争をきっかけにして竜王組と手を組み、甲賀組を潰そうと動き出した。九鬼達を水戸ヘ送ったのは甲賀組を誘き出す為のおとりにする目的があった。


 真実を知った九鬼は、竜王組との会合にやってくる伊賀勝己をホテルにて待ち伏せる。生き残った最後の甲賀組組員がホテルの電源を落とし、従業員が騒めく暗闇の中を九鬼はマシンガンを手に伊賀組と竜王組のいる和室ヘ突入、激しい銃撃戦を繰り広げる。

 敵を皆殺しにした九鬼は正気に戻った。

 明日からまた普通の学生生活が戻る。

 九鬼は仮面を剥いだ。


 

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