兄の仇

 埼玉の大物ギャング、武蔵信長の配下の広島健二は、飲酒運転で交通事故死した兄、健一の葬式に出席するため、故郷の加須へ戻ってきた。健二は、信長の愛人、京子と、香港へ高飛びするつもりだったが、兄の死に疑問を抱き、昔の仲間たちに聞き込みを始める。


 大宮駅前、南銀座の繁華街で会った友人の三島ヒロユキのあとをつけ、町の組織のボス、相模川セイジの館をつきとめた健二は、セイジと自らのボス、信長が裏で通じていることを知る。セイジの組織は彼を町から追い出そうするが、健二はセイジの手下をレーザー銃で痛めつけ、原西なる男が、兄の死に関わっていることを白状させる。


 翌朝、健二のもとに信長の手下二人が現れ、彼を加須へ連れ戻そうとするが、兄の遺品のショットガンで脅し逃走する。

「レミントンか?ナカナカ高価そうな銃を持ってるじゃないか?ここは退くしかなさそうだ」 

 手下の1人は明石家さんまも顔負けの出っ歯だ。

 兄の愛人、相川伊代と大宮ルミネ屋上のビアガーデンで会い真相を追求するが、再び信長の手下たちに追い詰められる。

「1番星がキレイだね?」

 さんま似の手下が空を見上げた。宵闇の街にクラクションの音が響く。8月もそろそろ終わる。

 新たな客が現れた。バズーカ砲を手にした美女が手下たちを次々と葬っていく。

 相模川セイジの愛人・宇喜多恵梨香に助けられた健二は、有力者原西と引き合わせられる。

 場所は氷川神社の境内だ。お笑い芸人の原西とは違ってイケメンだ。

 兄を謀殺したのはセイジであると原西に知らされるが、自分を勢力争いに利用しようとする原西の魂胆を見抜き、恵梨香と共にその場を去る。

「いったい、僕を何だと思ってるんだ?」

「怒らないで?」

 

 春日部にある恵梨香の部屋で、健二はセイジの館で撮影された1本のブルーフィルムを見つける。そこに映っていたのは兄の息子、オサムだった。健二は恵梨香を問い詰め、ブルーフィルムにとりまかれた兄の死の真相を知る。

 恵梨香はナカナカ答えようとしなかった。さらに、「あなた、健二じゃないよね?」と僕に詰め寄った。

「このまえ、ラブホで一緒にシャワー浴びたじゃない?健二には左肩に大きな黒子があるの?あなた、誰?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る