第3話
「おまえさ、いくらむかついたからって審判器投げるのはやめろよ、いくらすると思ってんだ?」
「だって、あのフレーズはどう考えてもアタシのだったのにぃ……!」
「だったら審判やってた先輩を投げろよ」
「いやオレを投げるのはやめてくれよ……」
「あっ、気が付いたみたい?」
「えっ?」
どうやら体育館の隅っこで私は寝かされていたみたいだ……
「大丈夫かい、君?」
「もしかして入部希望!?」
「おいおい、あんなことしといて入部してもらえると思ってんのか?」
あんなこと? 私は何をされたんだろうか……
アンギャ!」
延長戦が始まる。
数か月前のあの日初めて習った構え方。
--「剣を持っている手の方と同じ足を相手の前に向けてもう一方の足は90度外側に向けて、そのかかとの後ろに
つける。」
「剣先を相手の顔と胸の間くらいの位置に向けて肘が外に出ないように! 脇はくっつけるか紙一枚挟むくらい
体に近づけておくぐらいの感覚で」
「剣を持ってない方の手はリラックスして軽くひじを曲げるくらい、有効面の前に決して出さないように!」
キンキンキンキンキッ!
絶えずジャブのように剣と足を出し相手の剣を軽く叩いては戻し叩いては戻しを一定のリズムで繰り返し
相手にそれを刷り込む、それが第一段階……
そこから少しずつそのリズムに変化をつけていく、もちろん自分がやられることを考えてガードも忘れない。
常に相手の剣先をこのやや大きめのお椀で捉えられるように外しすぎずくっつけすぎないギリギリの距離と位置を心がけながら。
ハーフステップで少し遠めからの一発目の攻撃、もちろんこれはフェイントで次の攻撃のために相手の剣をコントロールする布石……
ここでこっちのお椀に相手の剣先を乗せて捉える。
これならもう相手の剣は怖くはない、あとはこっちが相手を攻撃するだけ、ちゃんと相手の剣を乗せたまま剣先を剣先を相手の外側から内側に回して上小手に下ろしていく……そして引っ掛ける……
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイっ!!
電気判定気がけたたましく響いた。
ランプは片方だけ、グリーン……
これは私の色だ!
延長戦33秒、ようやく勝負がついた。私の勝ちが決まったのだ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます