飽食

私にとって両親の愛は恐るべきものでした。

未知の領域、あまりに濃厚な味、目の前が突然色付いたようでした。虹の中を駆けている感覚がしばらく続き、そして胸焼けするのです。感情が頭の中に溢れかえっているのです。言い表せない息苦しさに、私は大泣きしていました。両親の愛が戻ってから一週間がたった頃のことです。


夜空に会いたいと思いました。

あの端的な愛情が好きでした。

薄味のモノクロな愛が好きでした。

冷たく突き放す口付けが好きでした。


毎晩、両親がおやすみのキスをしてくれます。彼と同じように。しかしそれもまた随分と暖かく、むしろ暑いほどです。彼とは違って。

両親が部屋を出たあと、私はそっと窓から飛び降りました。彼を探しに行きたかったのです。雨こそ降っていませんでしたが、空には分厚い雲が敷き詰められていたことを覚えています。着地の際に足を捻ったようで、手頃な棒を拾って杖にしました。


私は結局彼を見つけることができず、大人に保護されてしまいました。急いで駆けつけた両親は、一番最初に私をぶちました。そして、涙目で思い切り抱きついたのです。私はその時、両親の愛情を愛すことができました。暖かく、濃厚で、胸焼けのするほどの愛。

呼吸が楽になって、私は無意識に泣いていました。

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