淡白的愛情
ぬゆふ
潤沢
私の初恋は夜空でした。
彼は心の広いお方で、いつもみんなを包み込むような優しさを持っていました。私を特別扱いしてくれたわけではないけれど、彼の美しさに見惚れていた時、目が合ったのは確かです。
幼い頃、両親の愛に欠けていた私にそっと口付けをしてくれたことを、まるで昨日の事のように思い出します。
私は毎晩、彼の髪を撫でました。美しい黒の光沢を覚えています。彼は口付けを済ますと、他の愛に欠けた子のためにまたその口を使うのです。私はそれがどうしても許せなくて、何度も何度も止めました。その度に、彼は美しい瞳に私を映して言うのです。
『君には本当に愛すべき相手がいる』
その一言に全てが詰まっていました。
私が9つの時、彼は突然いなくなりました。その日は、いつものように彼のキスを待っていました。待てども待てども彼は姿を表さず、やがて私は眠りこけてしまいました。土砂降りの夜だったことを覚えています。
彼がいなくなるとほぼ同時に、私に両親の愛が戻ってきました。
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