第67話 騎士団新人リナ・ポートフェン 医務室にて

 私が手当てして貰っている間、団長が騎士せんぱいたちに説教してる。

「自分より下が入ったら、威張るばかりじゃ無く、気を配ってやらないと。新人は自分の不具合言えないんだぞ。戦場で、無駄死にさせる気か」

「申し訳ありません」

 色々、言いたいことあるんだろうな。


 本来ならしなくてもいい新人以下の訓練生の相手させられて、挙げ句がって。

 あ~あ、印象最悪かも……。

 結局、何かあったらトップが庇いに来るんじゃんって。

 私の視線を感じたのか、団長が、ふとこちらを見るなり言う。


「ああ。手の方も手当てして貰え。マメつぶれてるだろう」

 団長の指示で医師から消毒塗られて、テープ貼られた。

 全身痛くて、もうどこがどうだとか、わかんない。

 仕方ないなぁ。ゼロどころかマイナスからだけど、やり直すしか無いか。

 もう、相手してくれないかも知れないけど。


「ありがとうございました」

 手当てしてくれた医師にお礼を言う。

 そして、団長や2人には謝罪しなきゃ。

「お忙しいところ、お時間を取らせてしまい。申し訳ございませんでした」

 しっかり立って団長たちの所に行って、ぺこんと頭を下げる。

 まだ、少し痛いか。


「まだ立つんじゃ無い。大概我慢強いんだな、リナ嬢は。今時期だったら、身体中痛いはずだろう」

「はぁ、でもこんなものなんでしょう? 始めたばかりって」

「それはそうだが……」

「なら、大丈夫です。そういう経験をしに来たんですから」

 おい。なぜ、そこで固まる。騎士団の三人+医師よ。いや、マゾじゃないからな、私。


「理由を訊いて良いでしょうか」

 オルグレン隊長が訊いてくる。

「簡単なことですよ。中に入らないと何も分からないでしょう? 何も分からない子どもに指揮とられて全滅とか嫌すぎませんか」

「嫌すぎるどころじゃないですね」

 そう言いながら、苦笑いする。そして、オルグレン隊長は思い直したように続けた。

「すみません、こちらも謝らなければ……部下の体調管理は上司の仕事です。先程、団長が言われてた通り、下のものは体調が悪くとも言えません。本当なら、相手してる騎士が。最悪でも私が気づくべきものです。申し分けない」

 と言うことは、先々は私が気づかないといけないんだ、なるほど。


 もう一人の頭も隊長が押して下げさせた。何だっけ? 名前。







「そういうところで、連れて行って良いでしょうか。今日はもう訓練にならないでしょう? リナ様」

 宰相から、私はひょいと抱えられた。

「ゲッ」

 宰相さ…ま? 激おこ状態なんですけど。

「ゲッとは、何です。ゲッとは。騎士団に入ってガラが悪くなりましたか?」

「ああ、どうぞ。持って行って下さい」

 団長、ひどい。


「貴女には色々聞きたいことがあるんですよ。私の元に上がって来た書類とか、この現状とか」

 セドリック、抑え切れてないじゃん、馬鹿たれ。

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