第6話
予想外の表示に呆然としていると、容赦なくグレネードが放物線を描いて飛んでくる。NPCは空気を読まねえな! 読まれても困るけど!
しょうがないのでおれは派手な爆音を背に、本来のバトルフィールド、すなわち『マシナリー・リーダー』が本来待機している部屋に逃げ込むことにする。こうなったら戦ってやんよ!
と言いつつ、部屋の中の遮蔽物に素早く隠れつつステータスを開いて念の為装備やアイテム、そしてオプションを確認する。ログアウトは……出来るようだ。となると、昔ラノベで流行ったデスゲームみたいな展開ではなさそうだな。そもそも今現在この端末はHDMIとUSB端子で繋がってるだけでおれの脳に信号送ったりとかしてないけど。
……そう考えたところで、そもそもその『ゲームで死ぬ仕組み』が、全感覚投入型仮想現実……いわゆる『マジのVR』ってやつを利用したものだったことに思い当たった。その理論? が、なんでアイテムとしてドロップするんだ?
ドゥドゥン! ドウ!
そんな事を考えを打ち切る様に、ダメージエフェクトがおれの視界を赤く染めた。おかしい、爆風が遮蔽を貫通するバグか……画面を戻す。
そこには隠れていた遮蔽物……部屋に放棄されていた(テイの)コンテナが吹き飛んで、その残骸の向こうに『マシナリー・リーダー』がいた。くそ、それも破壊不能オブジェクトだろっての!
って体力が4割切ってるじゃねーか!! 直撃ダメかよ!!
あわててドレイクちゃんで疾走しながら、武器ロール、プライマリ、レディ、SMG『簒奪者モース』実体化。好適距離を少しオーバーしてるのでダメージは少ないが、牽制に弾丸をばらまく。
それを追尾するように相手はガトリングを展開するが、遅い遅い。いや嘘。普通に当たりそう。
だが、撃ち切ったSMGを引っ込め、再度ロングソードで剣戟を仕掛ける。システムアシスト。かつ、騎乗の効果を加味して強烈なスマッシュ。本物の剣ならへし折れそうなものだが、これはゲームなのでなあ!
ガトリングの右腕がひしゃげ、ひるんだところでとっておきをサブウエポンから放つ。破砕グレネードだ! お前も爆破の恐怖を味わうがいい! まあNPCだから以下略。
結構お高いグレネードは無事本体急所を砕き割り、相手の体力の底も見えてきた。
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