第5話
爆風ダメを避け、前ステップ。ダッシュ開始、シフト移動右。
武器ロール、セカンダリ、レディ、ロングソード『クイックトゥース』実体化。
二秒ほどでコマンドを入力し、グレネードを搭載した左腕側に回り込む。理由1、近距離で右腕のガトリングを受けたくない。理由2、狭所でグレネードを受けたくない。結論、グレのリロードがされる前に潰す! 『マシナリー・リーダー』の直前で小ジャンプ。後、通常斬撃!
システムアシストで吸い付くように鋭い連続斬撃を放ち、異音とともに細めの腕が跳ねる。次の瞬間、背中からオレンジ色の小光球を大量に吐き出され、おれはバタバタと後退する。
フレアだかなんだか知らんがダメージ判定があり、至近距離で被弾すると密集しててめちゃくちゃ痛いのだ。本来は多数のPCを相手にしたときに張り付きハメを抑制するためなのだろう。多分。知らんけど。ただし、初撃で一定ダメージを叩き込んだ証拠でもあるので悪いことではない。奴の左腕はだらりと垂れ下がっている。
「次はガトリングを遮蔽物でやり過ごして……あれ?」
ここロクな遮蔽物が無え!
ウォームアップすることもなくガトリング射撃が開始され(そこはリアルを追求しないのかよ! というツッコミには一向に応えてくれない)、身体ごとこちらへ射線を向ける。
半分近づき半分避ける軌道で慌てて移動するが、こちらの攻撃範囲に再度捉える前にあえなく射線が追いつき、咄嗟にステップ回避する。しかし、無敵時間は一瞬だけで、すぐさま連続ダメージがガリガリ体力を減らす。
不味い、硬直でハメ殺される。アドリブ力皆無なプレイヤースキル0のnoobでごめんなさい……誰に向けてかわからない懺悔をしていると、ドレイクが全力で体当たりし、『マシナリー・リーダー』を弾き飛ばす。ナイスアシスト! 先程の腕との累積ダメージでスタン!
実際のところ飼い主であるところのおれに加害されたことをトリガーに自動反撃が入ったのだろう。だが、なんか心が通じ合ったようで、ちょっとどころでなく嬉しい。
「フォローミー!」スタンは数秒も保たないだろう。追撃しそうなドレイク(後でちゃんと名前をつけてやろう)を引き寄せ、騎乗する。さっき壁を破壊してくれたおかげでそのまま通れるので通路へ走る。
『マシナリー・リーダー』再起動。二腕四脚の機械兵器は左腕を再生させ、体力は減ってるものの機能は万全だ。
だが……おれは冷静にインベントリを開き……緊急脱出アイテムを起動させる。ふふ……相手してられるかおれは帰る。なんか今日のお前こえーんだよばーかばーか。バグユーザーはNPC含めて処罰されろ。
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……ナンデ?
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