第3話
このゲームにおいて、ポイントがすべてだ。
スキルとステータスに区別はなく、ポイントを割り振れば一定の区切りでレベルアップする。
まあ、何をするにもステータスが無ければ始まらないので、ステータスの合計値をキャラのレベルと便宜的に呼ぶことが多いが。
そして難儀なのがスキルである。
スキルに必要なポイントは変動する。基本的な方針として、万能キャラは作りづらいように設計されており、かつその抜け穴は定期的にふさがれる。
今現在、概ね無茶なキャラは出来ないように調整されている。
さて、ドレイクである。
「うちの子になるか?」
あほなことを言ってないでさっさと進めよう。
騎乗生物、ひいては友好的存在は、購入または調教<テイム>で半永久的に仲間にできる。仲間にしなくてもレンタルすれば一定のスキルが使用できるが、長期的に見れば購入して育てたほうが得だ。
故に、いつかは仲間にしようと考えていたが、これに関してもゾンビ戦法やワラワラが使えないように、数や再購入可能時間等、いくつかの制限事項がある。
その貴重な枠を消費して、かつ、少なくないポイントを使って購入するか悩んでいた。
買取とスキル上げに必要なポイントは、自分のステータスをいくつかあげるか、新規スキルを獲得できるポイント量であり、換金すれば結構な額になる。デスペナ回避のための貯蓄でもある。
ああ、なぜこんなにこの『察知』に拘泥するのだろう?
わからないまま、視界の端のミニマップにマシナリー・リーダーがポップした反応を検知する。時間も限られてきた。
ええい、ままよ!
おれはドレイクを購入した。
【あなたの仲間にドレイクが追加されました】
ドレイクの目に意志のようなものが宿り、顔をおれにこすりつける。カワイイ。そのままステータスを開き、スキルを上げる。
チャタリング
間違えてレベルが2つあがり、ポイントが消し飛ぶ。まじか。……まじか!?
【竜の感覚】確率[Lv3]で付近に隠されたものを察知する。おおまかな場所がわかる[Lv3]。
Noooooooooooo!!
声にならぬ声で叫ぶ。
そして、先ほどの『察知』の対象となる場所が薄らぼんやりとハイライトしていた。
……俺の給料のン分の一の光だ。
それは通路の側面下部。ボス部屋の扉や通路床面ではないので、トラップやエネミーではないはずだ。
ポイントやアイテムであればコンテナの反応だからあれは……隠し通路?
「くそ……なんか実のあるものじゃないと容赦せんぞ」
誰に言ったのかわからないが、それに反応してドレイクは再びクァァと鳴いた。なんだ?
【親愛の鳴き声です】
そうか。
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