第2話
火星マスドライバー第69層は初級と中級の間の難度のダンジョンだ。
メインエネミーは暴走した防衛機械<マシナリー>……と言う設定。
「【踏みしだき】!」
四本脚の小型竜……ドレイクの足元から発生した衝撃派を受け、『マシナリー・ウォーカー』が爆散する。大体のダンジョンがそうであるように、入口付近のエネミーは比較的弱い。今日のメインターゲットは中頃にポップする『マシナリー・リーダー』なので、そこまでは騎乗生物で蹴散らしていく。
ドレイクのスキルなら、その道中の敵も狩りながら進めるという寸法だ。……まあ、これも借り物の戦法ではあるが。
おれは初心者ではないが、最新階層を攻略する「攻略組」でもない。副業として本業のあとにログインしているので、時間もポイントもそこそこに、フォーラムに従って効率的に稼ぐのがプレイスタイルだ。お、ポイントゲット。
「クァァ!」
ん?
そうしているうちに、件のマシナリー・リーダーのポップする部屋の直前の通路でドレイクが鳴き声を上げる。鳴き声を初めて聞いたが鳥みたいだな。
ええと……ステータスを開き、それらしいスキルを見てみる。
【竜の感覚】確率[Lv1]で付近に隠されたものを察知する。場所の特定はできない[Lv1]。
こんなスキル持ってたのか? 先の踏みしだきを所持する騎乗生物という基準でしか選んでないので、知りもしなかった。
ちなみに踏みしだきはこの様なスキルだ。
【踏みしだき】騎乗中使用可能。踏みしめた地面を中心[Lv1]に少ダメージ[Lv1]を与える。
[]の中のレベルは直前の語句に係り、効果量を表す。すなわち、レベルを上げれば効果半径やダメージ量が増える。これをドレイクのスキルに当てはめれば、確率が上がるのだろう。
しかし、『付近』には設定がなく、『特定はできない』には設定されている。
……しかも、『隠されたもの』にも種別の特定がないことにも気づいた。
総合すると、どの位の範囲かは不明だが、この付近の、何かに反応した。レベルが上がるとどの辺りかは分かる可能性がある。
何という半端なスキル……。
隠されたもの……アイテム、ポイント、あるいはトラップ、エネミー。
おれの感知系スキルはトラップのみ。ソロのお供だ。
アイテムやポイントなら良いが、隠しエネミーはまずい。エネミーラッシュ……エネミーが大量に出るか、ボスエネミー……強大なエネミーが出ると相場が決まっている。フォーラムで読んだ。
倒されれば死……にはしないが、無慈悲なポイントロストが待っている。
せめて方向さえわかれば。と思うが、感知系スキルを自分で新規獲得するには『高い』。だが、なぜかこれを無視してマシナリー・リーダーを狩りに行くのはためらわれた。
この問題を解決するには……ドレイクをレンタルから買取り、ポイントを与えスキルを上げるか?
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