ウェルカム・ブラックゲート

むつぎはじめ

第1話

ダイヴ、スタート。おれの視界を覆っていた緋色の砂嵐が明け、目の前にカウンターが見える。

「ウェルカム。冒険者<エクスプローラ>。本日はどちらへ?」

「火星マスドライバー第69層。ライディングドレイクをレンタル」

「了解しました。計算能の使用対象は指定しますか?」

「モノコイン……いや、MWコインのマイニングを」

「了解しました。ゲート、開きます」

虚空に石のアーチが出現し、その暗黒へ、おれは無造作に足を踏み出した。



2009年、世界各地にて深黒の正体不明の物体(大型バスほどだ)が出現した。

測定不能の度外れた計算能を持つ”それ”はブラックゲート……BGと名付けられることとなる。そして、世界のコンピュータはそれに接続するだけの端末に堕した。



BGから計算能を引き出す手段は一つ。あらゆるタイプのダンジョンを踏破し、アイテムを得、それを精算すること。そう決まっている。



「グッドラック。冒険者。お早いお帰りを」



……最初のBGには、HDMIとUSBの端子が空いていたそうだ。

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