第7話 宇宙人の正体?

 頭が大きめで、手足が2本ずつあって、2足歩行する生き物だった。

「うわあ、宇宙人見たん初めてや!」

「もしかして、これが目撃されてんの、向こうで?エリア、何やったっけ。88は新谷かおるやし、56?51?何かそこで墜落して捕まった宇宙人って、こんなんやん」

「解剖されてたな」

「されてた。

 あと、捕まって連れて行かれるトコの写真も見た事あるで」

「ああ、あれ。何か、凄く小さいねんな」

「そうそう。子供サイズや」

「ん?」

「大人サイズやで。それもマイケルジョーダンサイズや」

「じゃあ、別のもんなんかな」

 首を傾ける真矢と菜子に、

「ここから見学しておけ。終わるまで、近寄らないように」

とジーンが命令し、皆は、飛び出して行った。

 グレイに似たそれは、人の大人サイズかそれより少し大きいくらいで、動きは早い。体毛はなく、表情は分かり難く、20体程いたが、見分けがつかない。

「人と同じ形状やし顔もあるのに、表情がわからんわ」

「表情筋、退化してんのかな」

「同じ表情無しやったら、ハニワの方がええわ」

「ハニワかあ。兵士とかの表情、ポカーンとして、長閑というか、ええなあ」

「ええよな。高槻にハニワ公園があるらしいねん」

「ハニワ公園?ハニワ、体験教室で作れるとか」

「ちゃうかな」

「やりたいわ。凄い、興味あるわ」

「やろ。ひらパーもええけど、そっちも良かったなあ」

「ハニワとか縄文式土器とか、作ろうと思った事あらへん?」

「難しいやろ?真矢はやったん?」

「粘土でな。陶芸体験で作ろうと思ったけど、お皿とかカップとかやねん。ええやんなあ、個人の勝手で」

「好きにさせて欲しいなあ」

 言いながらも、じっと先輩達の戦いを見学する。

 ルウム兄は豪快に槍を振り回して敵を屠って行くし、ルウム弟はちょこまかとヒットアンドウェイ方式で攻撃をしている。ロレインも力強く安定感があり、レスリは、まさに死神だった。鎌を振るうたびに、首が飛ぶ。ミスラとジーンは正統派なのだろうか。きれいなフォームだと、素人目にも思った。特にジーンは、舞を舞っているかのようだった。

 と、端の方にいた魔物が、真矢と菜子に気付いた。

「なあ、菜子。グレイーーやない、魔物と目が合うたような気がしたんやけど」

「奇遇やな。私もや。

 何か、こっちに走って来てへん?」

「来てるよなあ、やっぱり」

「え、どないしょう。ここは、反撃せなアカン?」

「まあ、やられるで、やっとかな。せやけど、十手、使えるん?」

「しもた!他のもんにすべきやったかも」

「手遅れや」

「今回は真矢に任したで」

「え、任されたん?」

「一応、刀やん。使い方は刀やん。時代劇の王道やん」

「菜子も時代劇やん。同心も親分さんも、鬼平も持ってたやん」

「アカン。まだイメージトレーニングできてへん」

「私が一番最近見た侍って、『武士の家計簿』や」

「チャンバラしてへんな」

「してへんねん」

 喋っている間に、魔物はそこまで来ていた。

 取り敢えず、やってみるしかないかと覚悟はしたところで、何かが魔物の背後に急接近し、斬りつけた。それで魔物が倒れたのを見てから、それをした人物に目が行った。

「隊長!」

「恰好ええ!」

「大丈夫か!?」

 真矢と菜子に訊いたジーンだったが、

「やっぱり凄いわ!」

「あかん、ハンサムに補正がかかる!」

というコメントに、

「うん。大丈夫そうだな。良かった、良かった」

と言い、戻って行った。

 魔物を殲滅するのは間もなく終わり、戻って来た皆とバスに乗る。

「今晩は、初出動恒例の宴会だな」

 座りながら、ウキウキと、ルウム弟が言う。

「恒例?」

「ああ。新人の初出動の日は、まあ、慣例行事としてね」

 ミスラがニコニコと言う。

「楽しみだぜ。お前らも楽しみにしてろよ」

 ルウム弟がもの凄く楽しそうに笑い、ロレインは曖昧な笑みを浮かべる。

「んん?まあ、そういう事なら」

「楽しみにしてよか」

 真矢と菜子は、頷いて、ルウム弟と一緒に笑った。



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