第14話約束

神谷に人と関わらない理由を話せと言われてからの授業を受けながらふと思った。

最近の俺神谷中心に結構人と関わってない?


これはいかん。

このまま徐々に絆されていきいつの間にか友達になってるなんてことが起きてしまう。


俺は誰とも関わらず生きていくと誓ったはずなのに。

なんでそれを壊そうとする最たる原因に理由を話さなきゃいけないんだ。


話して理解してくれて離れていってくれるならそれが一番いいんだが、神谷だとそうはならなそうだから嫌なんだよな。

言いたくないけど約束だから言わないといけないんだよな。

言わないとか出来るんかな? 無理ですよね。


そうして時間が過ぎ授業が終わる。


「さあ、さっそく話してもらおうか」


少し大仰に振り向きながらこちらを指さしてきた。

ウザイ、演技だと突然のテンションの変化みたいでウザイ。


つーか、そんなことしたらクラスの奴らから普段感じない視線感じてんのに余計目立つだろ。

そう思い周りを見てみると突然のことに驚き固まっている。

まぁそうなっても仕方ないか。

俺も最初は困惑したしな。


とりあえず今のうちにここを離れておく必要があると考えこちらを指さしてきた神谷に教室を出るように伝える。


そして廊下の人が少ないところに着いたので神谷に文句を言う。


「お前が話しかけてくると目立つんだよ」

「でもそのおかげで無事に教室出れたでしょ」


あれ狙ってやってたのか。

突然あんなのされたらビビるけど誰か一人くらいは大丈夫なやつがいてもおかしくはなかったと思う。

神谷にそういう突拍子のないことをするイメージがなかったのだろう。


「じゃあ今度こそ話してもらおうか」


先ほど教室でしたのと同じセリフに同じポーズだった。

その役はさっきので終わりでいいよ。

リテイクなんて頼んでないんだよ。


「そのことなんだが、昼休みじゃダメか?」


長くなるかもしれないと思うと今話して途中で終わるのは面倒だ。


「そう言って逃げる気でしょ」

「逃げていいのか」

「ダメ! ちゃんと話してもらうから」

「それなら昼休みでいいだろ」

「まぁ、元から一緒に食べる気だったからいいけど」


え、なにそれ、聞いてないんだけど。

あなたがクラスで爆弾投げなかったら今日も一人で食べるつもりだったんですけど。


「弁当作ってきてるから購買行かなくていいから」


それ神谷はってことだよな?

約束してなかったのに二人分作ってきてるわけないよな。


「じゃあ俺は購買だから」

「相馬くんのもあるから行かなくていいんだって」


なんで作ってきてんの?

俺と一緒に食べることにならなかったらどうする気だったんだよ。

まぁ作ってくれてんなら食べるんですけどね。


「わかった、じゃあまた昼休みな」


そう言いこれで今回は終わりだろうと思っていたのだが。


「まだ時間あるからなんか話そうよ」


神谷が俺を解放しようとはしていなかった。


ここで言う通りにしてしまうと神谷と友達になる未来が待っているはず。

昼休みに約束したんだからここは拒絶あるのみ。

今日家出てから全部神谷といるんだよな。

友達でもそこまで一緒にいないよな?


「話すことないから」

「じゃあ相馬くんは今まで私がした演技どれがよかった?」

「どれも同じ」


演技のこと聞かれても知らんしな。

俺に差なんてわからん。

はっきり言うならどれもウザかった。


「それじゃ答えになってないんだけど」


答える気がないんだよ。

さっさとどっか行ってくれよ。

もう俺からどっか行くからついてくんなよ。


俺は返答せずにその場を離れる。

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