第12話追求
……はぁ、さっきの休み時間のこと考えてると授業に集中できない。
神谷の友達発言否定しようにもあの名前のわからないクラスメイト達は俺の言うこと聞かなそうだしなぁ。
神谷を説得するしかないか。
だがこの場合の説得は難しいだろう。
神谷は俺が友達だと思ってないのを知っている場合は知っていてもなお友達だといったことになる。
つまりこの場合は神谷は俺に友達だと思わせようとしているということになる。
反対に俺が友達だと思っているとしたら俺が否定したら逆に神谷の説得が始まり平行線だろう。
どっちでも俺が神谷の友達にならなきゃいけないとか難しいじゃなくて嫌だからしたくないんだよな。
これはもう最悪クラスメイト達に友達と勘違いされるのはいいと考えたいが、神谷の相馬くんとはっていう他は友達じゃない発言のせいでそれもできないんだよな。
僻みや妬みがすごそうだよな。
どうやっても八方塞がりかよ。
そもそも神谷は俺以外を友達と思ってないんだろうか。
俺から話しかけようとしていたわけでもなく神谷から仲良くなりたいと言っていた。
何か明確な理由があるのだろうか。
それがわかればと思い神谷の方を見ると、楽しそうな笑顔を向けてきた。
……はぁ、少しは悪びれてくれよ。
授業も終わりクラスメイト達が一斉にやってくる。
とうとうこの時が来てしまったか。
ずっと授業でよかったのに、こんなこと思う日が来るとは。
「アイバ、なんでお前だけが神谷さんと友達なんだよ」
はい、来ました。想像通りの質問です。
質問というより文句だったけどね。
結局どう答えればいいか結論出なかったんだよな。
まぁとりあえず本当のこと伝えてみるか。
「俺と神谷は友達じゃない。隣の席だから多少話すだけだ」
「神谷さんが嘘ついてるわけないだろ」
やっぱりこうなるよね。
神谷の人気はさすがだな。
いや俺がないだけか。
「お前が神谷さんの弱み握って脅してんだろ」
え? それだと普通恋人じゃね?
友達ですましてる俺だいぶ優しくね。
まじかー、話したことないやつにまで俺の優しさ滲み出てたか。
つーか、それだと友達じゃないから神谷嘘ついてることになるんだが。
「お前みたいな友達のいないクズ野郎はそういうことしそうだよな」
「そうだ、蓮の言うとおりだ」
「最低だな」
「お前から神谷さんを守る」
このリーダー格は蓮くんっていうのか。
できれば名字教えてくれない?
流石にいきなり名前では呼べないよね?
こういうやつらはすぐ名前で呼ぶからいいんかね。
「まぁ落ち着け蓮くん。俺は神谷を脅してない」
「お前が蓮くんって呼ぶな!」
やっぱりだめか。リア充って難しいわ。
「相馬くんには脅されてないよ?」
おお、神谷が庇ってくれるとは。
そこは全く期待してなかった。
唐突に爆弾投げたやつだからな、もう何回かやらかしてもおかしくないと思ってたわ。
神谷頑張れ、俺の代わりにこいつら説得してくれ。
「え、脅されてないの?」
「じゃあ友達ってほんと?」
「こんなのと神谷さんがとか嘘だろ……」
脅しの話は解決しているみたいだけど友達っていうことに戻っただけだった。
これ元に戻っただけじゃねぇか。
「アイバが神谷さんを脅して言わせてるだけだろ」
「蓮くん神谷も言ったけど俺は脅してないんだよ」
なんなら友達でもない。
今まで話全部が勘違いなんだよな。
「蓮くんって言うな! 神谷さんがお前と友達なわけないんだよ」
友達じゃないってのは正解。
答えわかってんのになんで途中で間違うんだか。
疑う相手を変えればいいだけなんだけどな。
そこでチャイムが鳴りみんなが席に向かう。
「楽しいね、相馬くん」
「お前のせいで俺は迷惑してるよ」
「えー、友達なのに?」
「友達じゃないだろ」
「じゃあ友達になろ」
「ならない」
それで話は終わり、授業が開始される。
神谷はなんだか楽しそうにしているように感じる。
……はぁ、次の休み時間は逃げたいな。
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