第11話爆弾

今日から授業が本格的に始まる。

これを真面目に受けることから俺の勉強は始まっている。

授業を聞かずに高得点とかそんなの天才のやることだ。

だから俺は一からコツコツとやっていくのだ。


休み時間神谷から話しかけられそうになるもクラスメイト達が来たことにより無事で済んだ。


人気女優さんは未だ人気のようだ。

って言ってもまだ転校してきて三日目か。


「神谷さん昨日のドラマ見たよ」

「告白するなんて思ってなかった」

「真に迫ってたね」

「ドラマの前の番宣用のバラエティも見たよ」


いや、番宣用のバラエティって合ってるだろうけどもっと言い方あるだろ。


「いい意味で裏切られた回だった」

「続きが気になるよね」

「このまま付き合うのかな」

「えー、はやくない?」


こいつら勝手に喋り続けてるんだけど、なんでこっち来たの?

神谷と会話しに来たなら神谷に喋らしてあげなよ。


え? 話題のタネにしただけ?

なんだそれ、神谷が喋んなくても会話成立すんだからいらねーだろそんなの。


神谷もニコニコしてないでちゃんと喋れ、と言いたいとこだが話しかけてるようで話しかけてないって感じの疎外感を感じるんだよな。

お? 転校三日目にしてもう嫌われちゃった?


「おい、アイバ」


え、あ、はい。ソウマですけど。

なんでアイバって呼ばれてんだろうな。

教室で先生も神谷も相馬って呼んでるはずなんだけど。


あーでも俺もこいつらの名前誰一人として知らないわ。

誰だよ、二年だから自己紹介いらないとかいった人。あのポンコツ先生め。


にしてもなんか高圧的だな。

え? 神谷じゃなくて俺が嫌われてる?

ラッキー! じゃあもう話しかけないでもらえます?


「なんで今日神谷さんと登校してきてんだよ」


あらま、願い通じなかったか。


神谷と登校してきた理由か。

それは俺が聞きたいんだよな。

待ってるように見えたけど待ってないって言われたからなぁ。

なんなら無理矢理手引っ張られたからね。


「俺じゃなくて神谷に聞いてくれ」


どうせ俺がなんか言ったって信じないんだし信頼ありそうな神谷の方がいいだろ。

それよりも俺も理由知らないから神谷に聞かないとわかんないってのがデカイよね。


「答えられないってことはどうせお前がストーカーしてたんだろ」


なんでこういうときってちゃんと聞かずに勝手に決めつけるんですかね?


俺が何を言っても意味なさそうなので神谷にはっきり伝えろと視線を向ける。


神谷がそれに反応し、軽く頷く。

そして神谷の発した言葉は


「相馬くんとは友達だから」


爆弾であった。


なんで爆弾投げてんの?

こいつやっぱスキャンダルダメだわ。


友達ってのもダメだけどそれよりも相馬くんとはってのがダメ。

何がダメって他の人たちは友達じゃないって言ってるからね。

これで俺恋人だからって勘違いする奴いる? 流石にいないよね?


「なんでこいつだけ――」


そこで丁度チャイムが鳴る。

休み時間はそれほど長くない。

こんな感じでキリ悪く会話が終わることもある。


集まっていたクラスメイト達が各々の席に散っていく。


俺は先程爆弾を投げやがった神谷を睨んでおく。

神谷はニッコリと微笑んできた。


……はぁ、次の休み時間が今から憂鬱。

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