第10話登校

ジリリリリ


アラームの音で目覚めた俺は手を伸ばしアラームを止める。


ベッドから出て顔を洗いに行く。


リビングに戻り朝飯の準備をしながらテレビをつけニュースを見る。


朝飯はトースターで焼いた食パンを一枚食べるだけだ。

俺はこんがり焼いた食パンが好きなので両面しっかりと焼く。


昨日ギリギリに登校しようと決めたのでゆっくりと準備する。


食パンを食べ終わり歯を磨き制服に着替える。


ニュースを見ながら時間を潰していたがそろそろ出ないといけない時間なので玄関で靴を履き家を出る。


階段を下りマンションを出ると隣のマンションの前で神谷が立っていた。

なぜそんなところで立ってるのだろうか。

早く学校に行かないと遅刻するのに。


そう思っていると神谷がこっちに気づいたようだ。


「あ、べ、別に待ってたわけじゃないんだからね! 昨日のも告白とかじゃないんだから、か、勘違いしないでよね!」


腕を組みながらそう言うとプイッとそっぽを向いた。


……はぁ、今度はツンデレか。

それって女優の仕事じゃないよな?

じゃあ演技じゃないってこと?

これは素の神谷ってこと?


まぁそんなことはどうでもよくツンデレに真面目に対応なんてしてられない。


「……あー、はいはいわかってるわかってる」


そう言いながら神谷の前を通り過ぎる。


「あんた絶対わかってないでしょ。勘違いキモいんだけど」


そう反論されながら隣を歩かれる。


なんでキモいって罵倒されなきゃなんねーんだよ。

神谷の言う通りに勘違いしてないと伝えたのに罵倒される。

どうしたらいいんだよ。ツンデレへの対処法を教えてください。


「というか演技じゃないんだよな?」


一応聞いておかなければな。

素の状態だとしたら俺は神谷の相手を二度としたくない。

……や、元からしたいわけじゃないんだが。


「? 演技だよ?」


何を当たり前のことを、という感じである。

や、だってさツンデレってアニメとか二次元の産物じゃん?

現実にいる? ドラマに出てる?

女優の範囲外じゃない?


「それって声優の仕事だろ?」

「最近は女優にも声優の仕事来たりするんだよ」

「……それでもその役はしないだろ」

「じゃあ……40秒でしたくしな」

「それは有名だが、流石にお前にその役は来ない」


もう完成してますんで、それ。

リメイク版来るとしても声優さんにやらしてあげてよ。


「ていうか、相馬くんちょっと待ってよ。歩くの早い」


あ、これあれか。歩くペースはしっかり女子に合わせましょうってやつか。

でもな、今回はそれ合わすのは無理なんだよな。


「時間知ってるか? 今は遅刻ギリギリだ」

「え、嘘!? それならもっと早く言ってよ」


そう言って走り出したが少し進んで止まっている。

さては足遅いだろ。

そんなんじゃすぐ追いつくぞ。


「何やってるの? 相馬くんも急ぐよ」


そう言って手を握って引っ張ってきた。

まだ走らなくても間に合うギリギリなんだけど。

スカートがたなびいていいですね。

あ、ちょっ、はやい、待って、ストップ。

もうあしつかれたー。



そんなこんなでSHRには間に合いました。

運動苦手な人を無理矢理引っ張らないでね。

SHR中ぜーはーぜーはー言ってたわ。

神谷足速すぎ。


「相馬ー、ちょっといいか?」


SHRが終わり菅谷先生が俺を呼びながら廊下に出る。

なんだろう、なんかやらかしたっけ?

そんな覚えはないが仕方なく廊下に出る。


「昨日のことは聞いている」


先生さては国語苦手ですね。

こちとら全く伝わりませんでしたよ。

出直してきな!


「なんのことですか?」


そんな強気に出れるわけもなく当たり障りのない聞き方をする。


「委員会で神谷を助けたらしいな」


そのことか。

神谷は今朝俺とギリギリに登校したから話したのは神谷ではないだろう。

図書の文月先生から聞いたのだろう。

遠目から見ていただけだから勘違いしていてもおかしくない。


「あれはイラッとしたからやっただけですよ。それに神谷あっさり解決したんで、俺は何もしてませんよ」

「お前がそう思っていても助けたと見ている人もいるということだ。それは知っておけよ、相馬」

「……はあ」


なかなか深い物言いだな。

国語苦手なんじゃなかったんですかね?


「それとまだ生徒会には入る気はないのか?」


俺は父親から出された条件によって成績がいい。

だからこの人は去年から俺を生徒会に誘ってくる。

毎度断ってるんだけどな。


「俺はそんな集団に属す気はありません」

「そうか、気が向いたらいつでも言ってくれ」


それ毎回言われてるけど毎回待たずに誘ってくるよね


「神谷のこと頼んだぞ」


そう言い話は終わったとばかりに離れていく。


……えー、俺の反論は?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る