第2話委員決め


あの後すぐに始業式が始まるから体育館に行くことになり、神谷を無視したことになっている。

元から無視するつもりだったから気にしてないんだが、お相手さんは気にしてるみたいだ。


今はクラスに戻ってきて委員会なんかを決めている。自己紹介は二年なんだからいらないだろとのことだ。


で、委員会を決めてる最中なんだが……隣からめちゃめちゃ視線を感じる。


なんだよ、話さなかったのそんなダメなのか?

人気女優さんは無視されたことないんですかね。


つーか、なんで委員決めこんな進んでねーんだよ。

男子の方全く決まってないんだが。


そう考えてると先生が声を出した。


「神谷は仕事あるから楽なのにしとくか?」

「あ、仕事は学行に支障が出ない程度してますけどできればその方がいいですね」


神谷待ちだったのか。君こっちばっか見てないでちゃんと参加しなさいよ。


「じゃあ図書委員にでもしとくか」


図書委員らしいですよ。笑顔振りまいてないでちゃんと希望言いなさい。

笑顔でいれば喋んなくていいとかいいな。


さて、神谷が決まったことだしどんどん決めていこう。

これが終われば帰れるから急いでくれ。


「はいはい、俺図書委員がいい」

「待てよ、俺が図書委員だ」

「俺図書委員一択」

「図書委員に俺はなる」


急に元気出てきたね、君たち。

さっきまで静かだったのに。


みんな図書委員希望か。……って神谷と同じのになりたくて待ってただけかよ。

チャチャっとじゃんけんでもして決めちゃってください。


「ほぼ全員か。図書委員はこっちで勝手に決めさせてもらう」


「ええー、なんでだよ」

「先生俺選んでくれ」

「お祓いください、お清めください、神様の力でどうか私を図書委員に」


最後の奴神頼みガチ過ぎだろ。

そんななりたいもん?


先生がそれらの言葉を無視して黒板の図書委員の欄に名前を書く。

なになに、相馬霞……って俺じゃねーかよ!


なんで俺?

俺立候補してないんだけど。

先生間違えてますよ。


「ああー、俺じゃない」

「なんでだよー」

「アイバって誰だよ」


そうですね、アイバって誰ですかね。

名乗り出た方がいいよ、アイバ君。

俺? 俺はソウマだから。


「これは唯一手を挙げなかったやつの名前だ」


それっていいんですか?

やる気ないってことですよ?


「委員同じになったね、またよろしく」


お隣さんから声をかけられる。


隣にいたから手を挙げてなかったのが俺だとわかっているようだ。

まぁあんだけ見てたら隣じゃなくてもわかるよな。


二度目のよろしくに今度は成り行きではなく寝たふりをしてしっかりと無視させてもらった。


隣の神谷はぽかんとして不思議そうな顔をしている。

頭の上にハテナでも浮かんでそうだ。


神谷の委員とその相手が決まったことにより問題が解決され委員決めはそこから手早く進んでいった。


「これで全部決まったな。お疲れ、解散」


そう言って先生は手早く教室を出ていった。

先生早く帰りたかったのかな?

あ、俺も帰りますよー。


そう思い立ち上がり机につっているカバンを取ろうとすると集団が俺に向かって来ていた。


え、なにこれ? どういう状況?


窓側だから集団を後ろに背を向けて逃げることが出来ない。

くっ、これなら廊下側がよかった。


ひとまず落ち着くまで待とうと考え椅子に座りなおす。


集団が周りにやってきて話しだす。

俺もいつのまにか人気者か困ったもんだぜ。


「神谷さん女優ってほんと?」

「イケメンのあの人たちに会えてるの?」

「なんで転校してきたの?」

「あのドラマみたよ」

「カメレオン女優なんだよね? どうやってるの?」


などなど口にしていた。

あ、俺じゃなく神谷なのね。

そりゃそうだよな……勘違い恥っず。


これだけ一斉に来られると神谷も困惑しているようだ。


「というか図書委員のアイバって誰だよ」

「神谷さんと同じ図書委員だよね? この中にいないの?」

「先生実はいないやつの名前書いたんじゃねーの?」


本人を前にして次々とお前のことなんて知らないと言ってくる。

まぁそうやって俺が一年過ごしてきたんだが。


「図書委員はこの人だよ。ね? 相馬くん」


神谷が俺の方を向きながら言ってきた。

クラスメイト達は図書委員のアイバ君について知っていることに驚いてるが、俺はアイバではなくソウマと呼ばれたことに驚いている。


どうやって知ったのかはわからないが神谷は間違えることなく俺を相馬と呼んでいた。

これは警戒レベルを10まで上げる必要があるな。


俺は集団がいるが無理やり出ていくことにした。

そうして神谷から逃げる。

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