第114粧 婚約者が悪役令嬢に壁ドンをするのですが?

度々更新を停止しておりまして、申し訳ありません。

また、お待ち頂いておりました方々へ、感謝申し上げます。

今後も不定期更新となります。


前回から間が空いてしまったので…前回までのあらすじ!

(このあたりは数か月後に削除予定です)


~~~前回までのあらすじ~~~


 乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生してしまったノワールは、双子の片割れであるキュリテと入れ替わり変装をすることで、破滅への道を回避をしようと奮闘中。


 なんやかんやでヒロインであるヒナタとの仲も深めつつあったノワール。

 しかし、ヒナタがいじめられ始めるなど、状況は次第に不穏になりつつあった。


 そんな中、乙女ゲームでノワールの取り巻きだった令嬢、トリアリスが登場!


「ヒナタをいじめているのはノワールだ!」「ノワールには妄想癖がある」と主張するトリアリス。


 ノワールは、自分が未来を告げた相手がトリアリスで、予言が原因で敵対心を持たれていると推測した。


~~~前回までのあらすじ ここまで~~~


「やっと見つけた!」


 翌日、放課後の校内を一人でうろうろしていたところ、ガイアスに見つかってしまった。


「ガ、ガイアス?」


 見つかってしまったと言っても、私は兄さまの格好をしてるから不安要素はない! 勝つる!

 ……はずなんだけど、ガイアスの真剣な表情が珍しいのもあって、ものすごく私の不安を煽ってドキドキする件。


 そう言えば、ヒナタちゃんへのいじめ発覚とか色んな騒動があってすっかり忘れていたけど、最近のガイアスは兄さまに変装してる私に声を掛けたそうにしていたんだった。


 今までのガイアスはしょっちゅうノワールのあとを追っかけていたけど、こうやって兄さまのことを必死に探すなんて珍しいな。


 兄さまと他愛もない雑談するために、めちゃくちゃチラチラ視線を投げて来ないだろうし。


 そんな訳で、ガイアスに話しかけられたら何を言われるか分からなくて、怖いんだけど……。

 ちょっとでも良いから、話逸らせないかな。

 あわよくば、この場から逃げ出したい!


 そう言えば使者たちは放課後になるといつも訓練してると思っていたけど、今日は訓練お休みの日なのかな?

 とりあえずそれとなく……それとなく話をずらすのだー……!


「どうしたんだ? 放課後は訓練じゃないのか?」

「今日はお休みしたんだよ」

「サボりか? 意外だな」

「そうかな? 僕が訓練お休みするのって意外?」

「そうだな」


 何だかんだで正義感強いところがあるし。


「あのね、僕いまね、訓練よりも気になることがあるんだよ」


 基本可愛い顔立ちのガイアスだけど、珍しくキリッとした表情で言う姿はさすが攻略対象だなあと思う。


 ただ気になることって、何!?


「き、気になること?」

「昨日のノワールとトリアリス嬢の騒動のことを聞いたんだよ。だから、大丈夫かなって思って心配してたんだ」


 思ったよりたいしたことがなかった!

 でもそんな理由で訓練休んだってこと? 良いの?

 

「それで昨日ノワールの家に様子を見に行ったんだけど、追い返されちゃったから……」


 ガイアスうちに来てたのかー!

 その上、何でか分からないけど、追い返されたのかー!

 ……知らなかった。追い返したの兄さまかな……。


「うん? それなら、ノワールの様子を見に行った方が良いだろう?」

「うん、そうだよね」

「ノ、ノワールのところに行かないのか?」

「そうだね」


 そうだね、って言いつつどうしてこっちに近寄ってくるんだろう?


「ガ、ガイアス?」


 不穏な雰囲気を感じてじりじりと後ずさりしていると、下がったのと同じ分だけ距離を詰められてしまい……。


「はぇ?」


 ……ついには壁ドンされました。

 ナンデ?


「だからね、こっちに来たんだよ?」

「な、なんで?」

「ねえ? ノワール?」

「へぁっ!?」


 何故私のことをノワールだと仰る!?

 いやノワールだけど! いまは変装している訳であって……。

 あれっ? いま私ちゃんとキュリテの格好してるよね? よね!?


「ノワール……だよね?」

「ひぇ!」


 壁ドンしつつも自信なさげな潤んだ瞳で問いかけるのやめて頂けますかー!?


 でもそんな表情するってことは、私ちゃんと男装してるんだ、良かったー!

 びっくりした!


「ねえ、お返事は?」

「ののののノワールではないので!」


 思わずガイアスから目をそらしたけど、今度は顔を近づけてきおったよ!


「ノワールだよね?」

「ちょっ、なんでそんなにグイグイくるの!?」

「いつもノワールに接している通りだよ?」

「いつもより距離近いよ!?」

「だっていつもノワールが逃げるんだもん。僕たちが小さかった頃は逃げなかったのにね」

「ひぇぇ……!」

「やっぱりノワールだ。やっと……捕まえたよ」


 ちょ、おまっ!

 顔の近くで囁くのをやめーい!


 ガイアスよ、あなたどこの乙女ゲームの攻略キャラですか!

 いや、攻略キャラだった!!


 なんで悪役令嬢の私のところにグイグイ来るの?

 おかしくない!? 相手間違ってませんか!!


「はぁー……なんで僕、今まで気付かなかったんだろう……。ずっとキュリテを追ってたってことだよね……。ううう……教えてくれないなんて酷いよ……」


 私的には、なんで鈍感なままでいてくれなかったんだろう? って思ってるよ!?


「いつから入れ替わっていたの?」

「む、むしろいつ気づいたの!?」

「うん? 確信したのは、神子さまが階段から落ちた日だよ」


 気付くの遅いよ、婚約者ァッ!!


「神子さまが階段から落ちたときのノワールの取り乱し方が……昔のノワールにそっくりだったから……」

「そう言えば、昔階段から落ちたとき、ガイアスも居たんだっけ……」

「僕が駆け付けたのは、事故が起きた後だったけどね……」


 確信した。ってことは、実はそれより前から気付いてたってことかな?


「本当は分かったときに話したかったんだけど、間違っていたら悲しいし……。あの時はノワールが気絶しちゃうしで……」


 なんかごにょごにょと小声で呟いてる内容は聞こえてるんだけど、とりあえずスルーすることにした。


 私は一刻も早く、この壁ドンから解放されたい!!

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