第003粧 双子の乙女ゲームでの役割
今回は乙女ゲーム解説回。
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私が転生した乙女ゲームは、剣と魔法のファンタジーRPGの世界!
……でも、魔法は一部の人物しか使えない。
シナリオの導入は、占い師の予言から始まる。
簡単にまとめると、こう。
――遠くない未来、世界は「闇の因子」で溢れる。
そうした世界で人々は、「闇の因子」に囚われ、我を見失ってしまう。
――いわゆる闇落ちですね。わかります――
そうして世界に「闇の因子」が溢れると、やがては「闇の根源」が目覚め、世界を滅ぼす。
しかし希望はある。
すべてを束ねる「神子」とその使者たちが、「闇の根源」を浄化することが出来るからだ――
……と、ざっくりとこんな感じ。
そんなわけで占い師は、光を束ねて闇を払う「白の神子」と呼ばれる少女を異世界から召喚する。
「白の神子」と共に闇に立ち向かう使者は三人。
彼らは使者の証として左手の甲にアザを持ち、それぞれの属性の魔法を操ることが出来る。
「神子」は彼らと想いを通わせることで、使者の力を借り受けることが出来る。
そうやって「白の神子」と使者たちは協力して、「闇の因子」に囚われた人々や「闇の根源」を浄化する。
もちろん乙女ゲームのヒロインが、「白の神子」。
そして、攻略対象は三人の使者。
そして今は、ゲーム開始前。
それじゃ私は、何故悪役令嬢なのか?
ゲーム中で「白の神子」と敵対することになる、闇を司り「闇の根源」を目覚めさせるきっかけとなる「黒の神子」と言う悪役が、ノワール。
つまり、私なのだー!
さっき兄さまに見せびらかしたら隠すように言われた、このじーっと見ないと良く見えないアザが「黒の神子」の証。
シナリオでは中盤で「闇の因子」が活発になり始めてから、占い師によって「黒の神子」の存在が明らかになる。
実際にも今のところ「黒の神子」の話は、身内でしか出てきてない話題。
だけど、もし知られでもしたら大変なことになる。
だから兄さまは、私にアザを隠すようにいつも言っているんだ。
と言っても、小さい頃は母さまたちには、よくあるごっこ遊びに思われていたみたい。
それが「白の神子」の予言が出始めた最近になってようやく、「知られたらまずいやつじゃないか?」って思い始めて来た様子。
さてさて。
そんな悪役令嬢は、例に漏れず各攻略キャラのルートに入ると、彼らから婚約破棄されたり裏切られたりする。
その結果、ノワールは「黒の神子」としての力に目覚め、ヒロインたちの前に立ちはだかるのだ!
ラスボスの一つ前のボスなので、中ボスとして!
四天王の中でも最強のやつかな!
四天王なんていないけど。
ラスボスは、予言にも出てくる「闇の根源」。
「黒の神子」が絶望したり命を落としたり、色んな原因で最終的に「闇の因子」が世界に溢れてしまうと「闇の根源」が目覚める。
今さらっと言ったけど、このタイミングでノワールが死んだりするからね!
対する「白の神子」は「闇の根源」の目覚めを阻止、あるいは浄化するのが最終的な使命になる。
そして攻略対象との恋愛を達成させる! させないルートもある! ガードは出来る!
そしてそして!
一番放っておけないのがこれ!!
ゲーム中だと各攻略キャラのエピローグでさり気なく暴露される程度なんだけど、ノワールが死ぬと!
双子の片割れが、必ず! 命を落とす!!
これ重要!
めっちゃ重要だからね!!
だってそれって、私が死ぬと兄さまもろともってことだもん!
迂闊に死ねないよ、死ぬ気はないけど!
……と言っても。
私の破滅フラグについてはさんざん兄さまに語っているけど、実は兄さまが巻き添えになることまでは言ってない。
だって、よりによって私が死ぬときは兄さまも一緒なんだよ? とか言えるわけないし……。
双子だし運命共同体だね、とか仲が良いね、とかって言うレベルじゃないよ。
こんなんじゃ死神だよ、私……。
でも最終的には、私が私の破滅を回避すれば、兄さまの死も回避できる!
なので、わざわざ兄さまを不安にさせることもない。
だから、私がやることは決まっている。
攻略キャラルートでの破滅を回避すること。
黒の神子としての力を覚醒させないこと。
そして、決して死んではいけない、こと。
大丈夫、キュリテは私が死なせないからね!
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