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〇バンカー内・廊下

クモから降りて、フラフラと歩き出すサーシャ。


〇養育室前

養育室の中に誰かが居るのに気付くサーシャ、

部屋の中に入る。



〇養育室

サーシャの姿に驚く少年(以下、ミーシャ)

ミーシャ「誰!?」

サーシャ「僕はサーシャだよ、君は?」

ミーシャ「ミーシャ、マザーの息子だ」

サーシャ「えっ、僕がマザーの息子だよ」

ミーシャ「ウソだ!」

サーシャ「本当だよ、マザーに聞けば分かるよ」

ミーシャ「誰か来て!変な奴が来た!」

ミーシャに突き飛ばされるサーシャ。

ミーシャ「嘘つき!ニセモノ!ボクの部屋から出ていけ!!」

突き飛ばされて追い出されるサーシャ。


〇養育室前

サーシャの目の前で扉が閉められる。

沢山の羽虫の羽音が近づいてくる。

追い立てられるように逃げるサーシャ、ダストシュートの穴を見つけて、倒れ込むように飛び込む。


〇ゴミ山

バンカーの外壁に穴が開き、サーシャが放り出される。

立ち上がりよろよろと歩くサーシャ。

アンドレイが走り寄る。

アンドレイ「大丈夫かい?なんだか心配で待ってたんだ」

サーシャ「帰るところ、無くなっちゃった」

アンドレイ「いつまでもオイラの家に居ていいよ。ここはジャンクヤード、マザーに捨てられたロボットたちの生きる場所なんだ」

サーシャに肩をかして歩くアンドレイ。


〇アンドレイの部屋

傷が治り、起き上がれるようになったサーシャ。

それを見ているアンドレイ。

アンドレイ「歩けるようになったね!」

サーシャ「うん、アンドレイのおかげだよ、ありがとう」

アンドレイ「へへ・・・何もしてないよ」

サーシャ「君が助けてくれなかったら、僕はあのまま壊れていたと思う。それに・・・」

うつむくサーシャ。

サーシャ「もう壊れていいと思ってたから・・・」

アンドレイ「そんな悲しいこと言うなよ」

サーシャ「うん・・・」

アンドレイ「そうだ、街へ行かない?せっかく治ったし」

サーシャ「街?」

アンドレイ「廃材でできた街さ」

サーシャ「外の世界にはそんなものがあったんだ」

アンドレい「なんでもあるよ!みんな自分たちで作ってしまうんだ」


〇街

屋台と商店が立ち並び、沢山のロボットが歩いている。

店先には汎用端末やケーブル類、大小のモーターやバッテリ、部品類やロボットのパーツが売られている。

サーシャ「すごい賑やかだ!こんなにロボットが居るの初めて見た!」

アンドレイ「ここにないものは”役割”だけさ」

サーシャ「役割?」

アンドレイ「マザーだけがおいらたちロボットに与えられるものさ。役割を取り上げられたロボットは、解体されるのを待つか、ただ朽ち果てるのを待つしか無くなるんだ。もう一生、誰かの役に立てることなく、必要とされることもなくね」

サーシャ「僕は、君が必要だよ」

アンドレイ「ありがとう!不思議な気持ちだ、胸の奥が温かいよ。サーシャ、君にもマザーのような力があるのかもしれないね」

サーシャ「そうなのかな・・・分からないや」

アンドレイ「あれ、サーシャ、どこ行ったの?おーい!」

人ごみに流され、はぐれてしまうサーシャとアンドレイ。

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