なしひとの書く小説のお題は、『夕方』『親友』『虚構世界』です。
親友は虚構だった。
虚構だったというのはつまり、徹頭徹尾そうだったということで。
名前は文字化けで、たしか譁 ュ怜喧縺 とかそんな感じ。年齢は虚数。顔には終始死にチャンネルのノイズがかかっていて、声はボイスチェンジャーがかかっていた。
詳しく話を聞いてみたことはないけど、じつは彼女らこそ虚構世界からの侵略者だったのだ。
とは、彼女らが撤退したあとに判明した事実だ。
撤退。すでに彼女らは、例外なくこの世界から去ってしまっていた。
結局侵略を諦めたのか、現実世界のヒーロー戦隊にやられたのか、あるいは実家の内戦がのっぴきならなくなったのかは知らないけれど。
まぁ、それはともかく。
一昨日くらいのことだったと思う。あるいは半年前。そのへんの情報にも破壊工作が行われていて、正確な日付はわからない。
ともかく今日より以前のある日。夕方の屋上に一人呼び出された僕は、彼女と向き合わされて。
さよなら、と。
そう別れを告げられた。
2日経って(あるいは半年経って)思うことには。
彼女らにとっての現実というものはどういう重さを持ったものだったのだろうか、と。
もしそれは僕らにとっての夢のような位置づけだとしたら。
そんな世界のたかが一人物にすぎない僕のために、わざわざ別れを告げてくれたことが、僕はたまらなく嬉しかったり。
寂しかったり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます