第6話 仲間?それとも敵?エルフの名はニコ


 ガバリを狩ってからというもののドローンにガバリや地形情報等の入力を行い調理を始めた頃にはすっかりと日が落ちてしまい…日が落ちるまでには目的地へ着きたかったと言いながらもぱちぱちと燃える木々にガバリの足をそえ、ジュージューと焼ける音と肉の焼ける匂いにエルフの耳がかすかにぴこぴこと動きを見せたが外部的な刺激に反応しただけだと考えたマキナは肉を裏返し次の工程に移るかとドローンに骨の加工を始めるよう命令した。



「材料オオヌマガバリの骨による銃弾の生成及びエネルギーとしての活用が可能かテストを兼ねて錬成を開始する…推定終了時間…15分…」

「15分かそれだけあったら食事もできるな。

で、エルフ族とか言ったお前はどうするんだ??なんか持ってさ。」

「お前じゃないやい!!わたしにはニコって名前がある!それにどうしてわたしを助けた仲良しじゃないからまだ敵同士だよ!!」

エルフはニコと名乗り槍をマキナの背にあてて尋ねると本来なら偽名で名乗るのだがこの世界だと誰も自分の名前には興味もないだろうということから自分の名はマキナだと自己紹介を済ませどうしたらこの攻撃するかどうかの状況から脱することができるのかと考えているとマキナの後方から~という可愛らしい腹音が聞こえ緊迫した空気を取り払った。



「もしかしておま…いや、ニコ…おなかが減っているのか?

それならソイツをこの背に突き立てる前に食事でもしながら話をしないか?」

「かっこよく決めてたのにどうして我慢できなかったんだわたしのおなかッ!!

あんないい具合に焼けたガバリ焼きなんて見なければ……ぐぅ…わ、わかったその提案に仕方ないけどのってやる…しょうがなくだよっ!!」

ニコは忠告してからそっとマキナの背から槍をとるとマキナと話をする前にダッとガバリ焼きのほうへ駆け出し焦げ始めだしたガバリ焼きを必死に拾い上げ皿代わりとして置いていた草の上に並べニコがポンポンとたたく場所に早く座るようジェスチャーし二人はいただきますと言ってガバリ焼きというマキナにとっては初めての食事が始まった。



「ん~~うまひぃ~!!やっぱりガバリはこうして直接焼かないとね~~

たしか名前は…マキナだったよね?ん~む…こうしてジッと見ると本当に面白い身なりをしてるねぇ…村長が見たら腰ぬかしちゃうかも。

で、本当にコボルト族の子分とかそういうのじゃないの?もしゃもしゃ。」

「あぁ俺はコボルト族とは面識がないばかりか情報もない遠いところから流れてきたただのだ。

それとちょっとした野暮用のために世界をめぐってこの近くにある町か村?に向かう予定だ。

にしてもこのガバリ焼き…ウナギのような味だな油が思った以上にすごいな。」

ニコは耳をピコピコと動かしながら嬉しそうにガバリ焼きを頬張りつつもマキナの情報を耳に入れこの近くの村というワードにニコもその村から食料を狩るために来たと言って空を見た途端…先ほどまでニコニコとした表情から一転し額から冷や汗が流れ出し…



「へ?もしかして今…よ、夜ぅ!?こんなところでのんきに食べてる場合じゃないよぅ!?すぐに村に戻らないと村長や狩り仲間にぼろっかすに言われちゃう!!それどころかコボルトとの前線に出されちゃうよ~~~ん~だからマキナ…このガバリを私に??なんでもするからッ!!」

人間であれエルフであれモノを譲ってもらう何かをしてもらう前提として何でもするという引換条件は悪魔と交渉するに等しく自身の体を好きなようにさせたり金品を全て要求されても仕方ないのである。だが、今のマキナの場合はそのどちらでもなくただ単純に欲しいものとして確実な村への案内と落ち着ける場所の提供がガバリを引き渡す交換条件だと述べるとニコは何でも言うことを聞くからと話を聞かずよっぽど焦っているのか火をすぐに消したと思えばガバリを運ぶのを手伝えと言うもガバリの巨体を二人で運ぶには相当厳しくマキナは隠していくつもりであったバイクを起動させウィンチとガバリの尾を括り付けるとマキナは後ろに座るよう指示しニコの道案内で村への緊急移動を開始した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る