お仕立て グローブ その4

夕方、やっと自分の時間が出来たので、依頼を受けたグローブの製作に取りかかることにした。


先ずは生地選び。店のなかをぐるっと見渡し、考える。


「イズミさんって見事黒系のお洋服だったよね…」


うーん、無難なのは黒グローブだろうけど、そこまで黒くして良いのかな?


イメージしてみて、重たすぎる感じがして、頭を振った。


反物を入れた棚の前に座り込み、幾つか反物を選び、広げる。自分の手にも巻いてみる。


「これかなあ…じゃあもうひとつは…」


立ち上がったときになにかが足に当たって、あ、っと思い出した。


慌てて自分の生成りのワンピースのポケットを漁る。たしかイズミさんから受け取ったものだ。


お昼ごはん食べるからとポケットに入れてたのすっかり忘れてた。


出すと、包みはバラけていた。ガラス玉みたいな薄青の宝石かな…?あとは金貨二枚。


…めちゃめちゃ良い方じゃないですか!


グローブだったら金貨一枚でもお釣り出るよ!


薄青の宝石は私は良くわからない。宝石はサラの専門だから、聞いてみようかな。


妹さんの情報もあるかもしれないし。


「算段考えたところで、設計つくろうっと。たしかイズミさん、肌を守って、涼しくなるのがいいって話してたしなあ。」


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