お仕立て グローブ その3

お腹が空きすぎて急いでリビングに戻ると、リトがきちんとテーブルをセットしてくれていた。


「お客様、帰るの早いね。もう行っちゃったんだ?」


本を持ち込んでテーブルで読んでたリトが振り返る。


「計測はしたよ。あとはお任せします、って言われちゃったの。あ、そういえば妹の分も……って話聞いてたけど、その辺り全く聞かなかったなあ……」


しまった、失敗した。イズミさんと同じサイズで少し伸縮する素材で、作ればカバーできるかな?


小さい場合には……ゴム素材の糸で腕の周りを縫えばちょっと解決するかな?


暫く考えていたけど、ついにぐうぅぅー、とお腹の音が鳴り響いた。


ん? あれ? 私じゃない?


見るとリトが顔を赤くしている。


「リゼ姉、ごはん食べようよ……」


椅子に座ったリトが上目遣いで見る。くっはー! 鼻血出そうなんですけど!


「そ、そうよね。うん、食べよ! 私もお腹すいたし」


椅子に着こうとしたら今度は家の扉が開いた音がした。なぬー! と思ったけど、無視して静かにいただきますするとピザをとる。


ぐいーんと伸びるチーズが魅惑的だわ……。急いで口の中に頬張る。


「ただいま、リゼ、リト」


「お邪魔します……美味しそうなランチですね。俺たちも食べていい?」


リビングにお姉ちゃんとカイさんが現れた! 見るとリトもそそくさと口に頬張っている。


私は急いで咀嚼して飲み込んだ。


「足りないと思うから、追加で焼いてきますね」


「あ、こないだ美味しそうなピザ教わったから、私も手伝うわ」


お姉ちゃんがにこにこしながら返すと、先にキッチンに行ってしまった。一方カイさんは普段通りと言わんばかりに座っている。


なんだか舌打ちしたくなる気持ちを押し留めて、キッチンに向かった。

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