僕の初恋の味

「はい、ジュース買ってきたよ〜」

「わぁ〜これ私だいすき」

「よかった、僕もこれすきなんだ みんなには内緒だよ」

「うんっ」

「おいしいね」

「おいしいね〜」



小学校に入ったばかりの最初の長い休みに、彼女はやって来た。

いつも学校で見ていた女の子とは少し違った雰囲気で、きっとあれは一目惚れだったのだと思う。

体が小さくて色白だった僕はいじめられていて友達が少なかったけど、彼女はそんなこと気にしないで僕に声をかけてくれて遊んでくれた。


こうやって二人でいるだけで楽しくて、なんでもできる気がした。

ずっとこのままがいいって思ったんだ。


「ねぇこのジュースただのベリー味じゃないんだって」

「え?何味なの?」

「お母さんが「はつこいのあじ」って言ってた」

「は、つ、こ、いってなに?」

「ずっと一緒にいたいと思えて、だけどドキドキした気持ちをくれる人って言ってたよ」

「じゃあ僕もう初恋してる」

「え!?すごい!だれに?」

「大っきくなったら教えてあげる」

「えー、長いよ」

「そのときはまたこのジュース持って来てあげるから」

「ほんとに?うーんじゃいいよ、大っきくなるまで待つね」






「やくそくだ」「やくそくね」

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海が奪って、雨粒と空き缶 小河 @ua0-100

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