最強のふたり
魔物達の中でも、さらに暴虐非道な魑魅魍魎の集団である百鬼衆をつけ狙う、恐れ知らずの命知らずな凄腕の剣士が存在するという──確か、その男の名前が
しかも、そいつが扱う刀が実に厄介で、どんな魔物や物の怪すら斬り殺すことのできる妖刀・
「おまえのような若造に、黙って斬られる
ちょっとばかり〝群れ〟を離れて羽を伸ばした代償がこれとは、面白くもなければ笑い話にもならない。
「ケタケタケタ! 斬喰郎……百鬼衆に刃向かう愚かな
「そっちこそ尻尾巻いて逃げんじゃねぇぞ、トカゲ野郎が」
斬喰郎が緩やかに刀を上段に構えれば、戯光之介の人の頭よりも大きな黄色い目玉が不気味に光り、瞳孔が縦横無尽に動き回って
「──な!? うっ……おお……!」
すると、それを見つめていた斬喰郎が構えるのを急に止めた。
そのまま刀を握る右腕が徐々に折れ曲がっていき、大きく開けた彼の口へと、なんの抵抗もなく自ら剣先を飲み込もうとする。
「ケタケタケタ! 天下に名高い妖刀で、てめぇーの喉を貫くがいい! ケタケタケタ、ケタケタケタ!」
「……あんた、馬鹿だねぇー」
「へっ?」
突然、うしろから聞こえた女の声。
振り返れば、闇夜を彷彿とさせる
「本当の魑獲紗丸ちゃんは、こっちなのよん♪」
おどけた風にそう言って、魑獲紗丸が左右の袖を円形に振り回した次の瞬間、戯光之介の巨体は八つ裂きになり、青紫の血飛沫と脈動する臓物、悪臭を巻き散らかして月夜に弾け飛ぶ。
「な…………はぁ!?」
だが、それでもまだ絶命には至らない。
天高く吹き飛んだ戯光之介の頭部が、はっきりとした意識で怒りをあらわにする。
「クソ、クソ、クソ、畜生どもめ! 新しい身体が生えてきたら、この御礼を必ず……」
夜空に浮かびながらそう叫ぶ戯光之介の目の前に、燃えさかる紫炎に包まれた斬喰郎が鬼神の如き表情で現れる。やがて、着衣が燃え尽きて一糸纏わぬ姿となり、激しく躍動する筋肉の鎧が月明かりに照らされ──
「ひっ!? ヒィィィィィィィィィッツ!!」
斬喰郎は間髪を入れずに戯光之介を一刀両断し、これを見事に退治した。
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