第8話 焼け落ちる舞台


 翌日、俺たちは各々で戦争の準備を始める。


 そう、”戦闘”ではなく”戦争”。話通りの規格外な化け物が相手なら、そのくらいの覚悟で準備することが必要だろう。


 シルフィは、生徒会や有志の面子を再び招集し、竜退治のための戦力を整えていた。


 水菜は、彼らを数名ごとに班として編成し、配置や戦術の確認を行っていた。


 ちなみに俺は、数か所に補給拠点(のようなもの)を設置していた。


 まあ、想像される相手の破壊力から考えると、気休めのようなものだが。





 そして、決戦の夜。(昼は普通に授業に出ていた。俺は座学中寝ていたが)


 外に各班を配置し、俺と水菜は件の竜がいる場所へと向かう。間違っても死んでもらっては困るので、シルフィには同じく外で待機してもらっていた。


「ホントにこんなとこに地下への入り口なんかあるのか?」


「ある。七不思議の中に、地下への入り口がなんたらってのがあっただろ。それを探ってたら見つけちまったんだわ」


「お前、本気で調べてたのな」


 水菜が意外そうな、もしくは呆れたような声を上げる。


 俺はそんな声を無視しつつ、校舎に囲まれる位置にあるだだっぴろい中庭へと歩を進める。そして、お目当てである、中央に配置された噴水に近寄り、上に飾ってある天使の像の首の向きを変える。と、噴水の底にぽっかりと穴が空き、水が吸い込まれていく。そして、いかにもな古めかしい扉が反対側の底から顔をのぞかせる。


「こういうところも、ベタなのな」


「ま、世間知らずのお嬢様だしな。児童向け書籍かなんかでも参考にしたんだろうよ」


 そんな適当な推理をしつつ、扉に手をかける・・・


「・・・どうした?」


「いや、すまん。堅くて開かない」


 背後から痛い視線が突き刺さる。嘆息一つ、水菜が扉に手をかける。2分ほどの格闘の末、砂埃と錆を散らしながら、扉が開かれる。


「ほら、いくぞ」


 手についた錆を不機嫌そうに見つめた後、水菜が先に扉の下、灯りのない階段を下っていく。


「お前が懐中電灯とかも出せればなぁ」


「そりゃ、期待に沿えず悪かったな」


 世界観にぴったりの、蝋燭をのせただけの燭台を前方に掲げながら、水菜がいつもの愚痴をこぼす。


 生憎と、こちとらそんなに万能じゃねえんだよ。


 その後は特に会話もなく、曲線の壁に沿って作りつけられた螺旋状の階段を下り続けることおそらく15分ほど。ようやく最深層と思われる場所へ到達した。慎重に中央へと足を進めるが、ものの10歩ほどで水菜が立ち止まる。その先に石作りの床はなく、水面があった。燭台を近づけてみるが、光は水の中へと吸い込まれるばかりで、反射されることはない。どうやら、それなりに深いらしい。





「やれやれ。地上まで戻って、使えそうな魔法持ってるやつを探してみるか?」


 水菜が投げやりにそういったと同時、水面に波紋ができる。


「・・・何かいるな」


「・・・お目当てだと、戻る手間が省けていいんだがな」


 そう返しつつ、手元にカッターナイフを具現化する。刃を少しだけ繰り出した状態で、波紋の中心と思われる方へと投げつける。幸いと、イメージが途切れる前に何かに当たった音がした。と、わずかな間をおいて、波紋が再び起こる。それはどんどんと大きくなり、やがて地響きが起こり始める。


 その時には既に、俺たちは階段を駆け上がり始めていた。


「こんなので封印って解けるのかよ!?」


「同感だが、面倒がなくていいじゃないか」


 あえて、いつもの調子ではなく真剣実のある声で返してみる。こいつの能力を考慮しての演技である。


「ところで、前からずっと考えてたんだけどよ」


「こんな時に、どう、した?」


 息も切らさず、軽やかに階段を駆け上り続ける水菜に、早くも息を切らしながらなんとか応えて見せる。


 ・・・ちなみにこちらは演技ではない。カッコ悪いことに持久力は全くない。


「この夢の本来のシナリオのことさ。あたしなりに考えてたんだが」


「聞かせてみろよ、お前の、推理を」


「本当はお前も気づいてるんだろ?この世界にあいつが思い描いたことは、唯一の男子生徒・・・つまりお前と学生生活を送りながら、次第に接近。そして、最後は二人で協力してドラゴンを打倒し、そのまま二人は結ばれる。そんなシナリオだったんじゃないか?」


「まあ、そんな、ところだろう。恋愛の、絡む、余地が、あったのかは、わからんがな」


「てめえ、やっぱり気づいてやがったんだな!そういうことはあたしにも話せよ。秘密主義も度が過ぎんだろ!」


「どんまい」


「謝罪にすらなってねえ・・・よっ!」


 言い切ると同時に、水菜が出口へと飛び出す。少し遅れて俺も階段を踏破し、息も絶え絶えに噴水から離れて校舎へと向かう。


「シルフィ!全員に攻撃魔法を準備させろ!出てくるぞ!!」


 水菜は疲れた様子も見せず、シルフィへ指示を出す。それを受けて、シルフィが校舎の二階と三階へと集めた攻撃隊に指示を出している姿が見えた。間を置かず、各教室の窓が色とりどりの光に包まれる。





 作戦はいたってシンプル。竜が出てきたところを、各教室に配置した攻撃部隊による魔法の一斉掃射にて、一気に仕留める。最悪、仕留めきれない場合でも、周囲から集中砲火を浴びせ続ければいずれ片が付くだろう。


 俺が竜退治をするなんて簡単に言ったのも、この作戦ありきでのことだ。なんせ、化け物相手では俺の具現化したナイフなんぞでは、文字通り歯が立たない。いや、刃が立たないとでも言おうか。





 俺は、二階や三階ではなく、あえて屋上へと向かう。人が密集しているところはどうも好きになれない。人間嫌いに由来するのか、単に人混みが嫌いなのか、自分でもはっきりはしないが。


 水菜も、中庭を挟んで反対側の屋上へと姿を見せていた。


 おそらく、閉所である校舎内を嫌ったのだろう。あいつは能力を生かせることもあって、開けた場所を好む傾向がある。性格的にも俺とは違って開放的なので、らしくはある。





 そんな、些末な考察をして暇をつぶしている間に、先ほどから微細ながら感じていた地響きがはっきりと知覚できる域まで激しくなった。そして、噴水の辺りに晴天にもかかわらず稲妻が落ち、地下空間への大穴を開ける。そして、地響きが収まったと感じた瞬間、穴から巨体が飛び出した。


 頭には二対の角、見るからに力強く、赤い爪が生えた両手足。背には蝙蝠のそれを巨大かつ分厚くしたような翼。体表は見る者に威圧感を感じさせる一面の黒。そんなありがちなドラゴンが、穴の上で翼をはためかせ滞空していた。風圧だけで窓ガラスが砕け散っている。三階の各所からは大小の悲鳴が上がっていた。窓ガラスの破片にやられたのだろう。かくいう俺も、手すりにつかまったままで伏せていなければ、吹き飛ばされそうだ。


 一点、想像と違ったのは、その大きさ。てっきり特撮に出てくる怪獣のような巨体を想像していたが、この黒竜は二階建てアパートより少し大きいくらいの背丈しかない。もっとも、よく考えるとこれ以上の巨体であったなら、校舎ごと吹き飛ばさなければ出てこれないだろうし、あの地下空間に収まるはずもないが。


 そんなことを悠長に思っている間に、ドラゴンは中庭へと着地した。数秒して、三階から色とりどりの光球やら火球やらがドラゴンへと降り注ぐ。どうにか体勢を立て直して反撃に出たらしい。


 それらが体表へと着弾し、閃光と火花が中庭をライトアップし、爆音が鳴り響く。さながら、野外ライブのステージ、はたまた花火大会のような光景だった。夜とは思えないような光量。中庭とその周囲だけが昼間のような錯覚すら覚えそうな光の奔流が黒い体表を飲み込んでいく。





 そして、その光景を見て、


 俺は思わず呟いてしまった。





「やったか」と。





 呟いてから、あれ、これってフラグじゃね?とふと気づく。


 これは漫画でもアニメでもない、そんなお約束は存在しない。そう自分に言い聞かせる。しかし、同時にうすら寒いものが背筋を伝うのを感じてしまった。不安に駆られ、攻撃の手が止まって再び夜の闇が落ちた中庭に、閃光で眩んだ、はっきりしない目を凝らす。





 突然





 先の光量をはるかに超える





 赤い光・・・いや、炎が視界を染め上げる





 思わずのけぞり、バックステップまでして距離をとる。


 服の袖に引火した火を叩いて消し、現状を確認する。





 ろくに傷を負った様子もなく相変わらず、滞空する黒竜




 対して、アルミ製の窓枠が溶解し、室内に炎をくすぶらせる教室・・・だったもの





 そして、炭化した、十数秒前まで人だったモノ





 目を通して入ってくる、そんな絶望的な状況。





「あー、これはやらかしたかな」


 そんな光景を見ながらも、俺は平然と緊張感のない呟きを零す。


 普通の人間ならば、吐き気を催したりパニックにでも陥るところなのだろう。


 が、生憎とこの程度の惨状では俺に眉一つ動かせはしない。





 反対側に陣取っていた水菜も、多少の動揺は見えるが絶望や焦燥は見えない。


 流石に、俺と様々な修羅場を潜り抜けてきただけある。いや、というべきか。





 そんな暢気な思考を流している間に、黒竜は高度を上げ、先ほどとは逆に見下ろされる立場となる。


「蛍斗はシルフィを探してくれ!あたしは、あいつを見張っておく」


「わかった。なるべく戦闘は避けてくれ」


 そう言い残して、俺は階段へと向かう。階段を下り、炎と異臭と人だったモノしかない廊下を駆ける。


 炎と煙以外動くものは存在しない、死だけが充満した世界。


 正直、数人くらいは生き残っているかと思っていたが、どうやらこちら側の校舎は全滅のようだ。


 一階の渡り廊下を走りながら、黒竜の様子を横目で見る。今のところはまだ、上空で滞空しているだけのようだ。・・・いや、それだけでなくしきりに周囲を見回している。何かを探しているのだろうか。だとしたら、それが何かは想像がつく。


 反対側、シルフィたちが陣取っていた校舎へと駆け込み、階段を上がる。


 状態はあちらの校舎と変わらない。しかし、動いているのは炎と煙だけではなかった。


 ちらほらとだが、横たわりながら呻いている生徒や、治癒魔法らしきものを自身に施している生徒。どうやら、こちらはそこそこ生き残りがいるようだ。


 しかし、無傷の生徒は一人もいない。全員が、火傷や飛散物のせいと思われる裂傷を負っている。


 それらの対処は後回しにして、優先目標を探すために三階へと足を進める。


 各所が炭化した教室を、動くものがないか注意深く観察しながら小走りで駆け抜ける。


 その中の一つで、ようやくお目当てのシルエットを見つけた。


「シルフィ」


 呼びかけると、弱々しい笑いを浮かべながらこちらへ片手を揚げて見せた。


 ざっとみるだけでも、右頬と右大腿部に裂傷が確認できる。だが、どうやら火傷はないようだ。


「とっさに耐熱魔法を使ったから、火傷はしていないわよ」


 俺の視線で考えていることを察したらしく、シルフィは俺が質問する前に答えを提示した。


 やはり、頭の回転は速い。そして、この状況でも落ち着いているように見える。


「とりあえず、校舎の外へ出る。動けるなら、階下の生存者に手を貸してやってくれ。」


「そう。私以外にも生き残っている生徒がいるのね、よかった。」


 シルフィは様々な感情の混ざった薄笑いを浮かべて、ゆっくりと立ち上がる。


「この階は、私以外全滅だと思う。一番、炎が集中していたから。生徒会のメンバーも、私の前で炎に飲まれていったわ」


「そうか」


 そんな、ショッキングな光景を見たにもかかわらず、取り乱したりしていないことに疑問を覚えつつも、シルフィと階下へと移動する。


 数人の生き残りに手や肩を貸して、校舎から城下町へと移動する。その入り口に待機させていた医療班(治療系の魔法を得意とする生徒を集めた班)に生存者を任せ、シルフィだけを連れて学園へ戻る。


 生存者がこれだけと聞いたとき、医療班の顔が青ざめていたのは見なかったことにした。





 まだ煙と、時々炎もくすぶる階段を駆け上がり、屋上へ。水菜は変わらず、上を向きながらそこに立っていた。


「よう、戻ったか。シルフィも、軽傷で済んだみたいだな。」


 頬のガーゼや足の包帯を見ながら、あえて明るい笑顔で迎える水菜。


 まったく、普段は俺並みに破天荒な言動も多いくせに、気遣いは俺よりできるときた。


「なんとかね。生徒会メンバーは皆燃えちゃったみたいだけど」


「そうか。・・・なら仇はとってやらないとな!」


 今度はあえて、強気な口調でそう呟いてみせた。もっとも、呟いたというには声量が大きかったので、意図的にシルフィにも聞かせたのだろう。


「そうね」


 短く答えて、シルフィが空を見上げる。なんとなくつられて、俺も空を見上げる。








 俺たちを見下ろしていた黒竜と目があった気がした。








 これまでいくつもの鉄火場を潜り抜けてきた経験が、警鐘を鳴らした。








 黒竜は、いかにもドラゴンらしい雄たけびを上げると、口から火球を吐き出した。


「水菜!」


 とっさにそれだけを口にして、何か魔法を展開しようとしていたシルフィを抱えて屋上から中庭へと飛び降りる。後方で炸裂音がし、背中に熱波が伝わる。


「ひっ!?」


 シルフィが短く悲鳴を上げる。3秒と経たずに迫る地面。しかし、俺たちの体はそれと衝突することなく、逆に再び上昇する。シルフィの魔法ではない。彼女の魔法では俺たち二人分の大衆を浮かせることはできない。上昇したのは一瞬。再び下降し、着地の振動が体に伝わる。とはいえ、俺たちの体は地についてはいない。


「まったく、いきなりだから焦ったぜ」


「よく言うぜ、すぐに反応したくせに」


 俺のシャツの襟を掴んで、持ち上げている水菜がニッと笑う。同時に、地面を蹴り、猛スピードで街の方へと走り始める。


「はい?え?えぇっ!?」


 状況についていけていないシルフィが、俺に抱えられたまま、言葉にすらなっていない困惑の声を上げる。


「これが水菜の能力だよ。言ったろ、俺たちアクターには夢の中で使える能力があるって」


 言い終えた途端、右後方で炎が爆ぜた。振り向くと、黒竜が上空からこちらを追尾しつつ、火球を放ってきていた。再び奴の口が開かれたのを見て、すぐさま叫ぶ。


「回避!」


「わかってる!」


 踏み出した足で地面を蹴って、右前方へと大きく跳躍する。走り幅跳びでやったら、間違いなく砂場を余裕で跳び超えるだろう。


 一秒前まで俺たちがいた場所が炎で埋め尽くされる。一体、どれだけの熱を凝縮しているのやら。


 ちなみに、シルフィは俺の腕を掴みながら、自身にのみ浮遊魔法をかけている。そのため、客観的にみると、水菜がさながら手提げカバンのように俺の襟を掴んだまま走り、そのカバンに結ばれたストラップのようにシルフィが振り回されているという光景である。・・・シュールな光景といわざるを得ない。


 さらに二発をかわしたところで、街の入り口が見えてきた。そして、空を見て唖然としている医療班の姿も目に入る。


「散れ!固まるな!」


 それだけを叫んで、水菜の腕を叩いて合図をする。


 水菜はタップの意味を理解し、俺を前方の民家の屋根へと投げ上げる。・・・腕に捕まっていたシルフィも巻き添えにして。


「きゃああああああ!?」


 シルフィの悲鳴を無視して、どうにか屋根の上へ着地する。シルフィも、浮遊魔法を解除して同じく着地。


 即座に黒竜へ視線を向けると、既に口を開けて火球の発射体勢に入っていた。


 やはり、シルフィを消して、この夢をリセットさせるのが目的らしい。


「シルフィ、ついてこい!」


 そう指示を出しつつ、屋根から飛び降り、民家で奴の射線を遮るように移動する。


 しかし、それがどうしたと言わんばかりに、火球を吐き続ける黒竜。


 後方で民家が吹き飛び、あるいは炎上し、何事かと外に出てきた人々は消し炭と化していく。


「あれだけ火球を吐いてるのに、威力がちっとも落ちやしない。エネルギーは無尽蔵なんて言わねえだろうな!?」


 至近に着弾した火球を間一髪かわして、思わず吐き捨てる。


 火球を無駄撃ちさせて消耗を狙うつもりだったが、どうも当てが外れたらしい。


 いよいよ、最後の作戦に頼るしかなくなったかと考え始めていると、黒竜の体表に爆発が立て続けに起こった。一瞬、力の使いすぎで自滅したかなどと都合のいい妄想がよぎったが、よく見ると


 それらは地上から放たれていた。


 生き残っていた生徒かと、そちらへ目を凝らしてみると、宵闇の中、街灯に照らされた複数のシルエットは大人のそれだった。おそらく、学園の教師だろう。この惨状に気付いて、加勢に来たようだ。あるいは、生徒の誰かが知らせたのか。(今夜の作戦は、邪魔をさせないよう教師には知らせていなかった)


 黒竜が鬱陶しいと言わんばかりに、そちらへ頭を向け、校舎を燃やした炎のブレスを吐き出す。


 シルエットに炎が到達する寸前、ドーム状の光が形成され、炎を防いだ。


「耐熱と防火の魔法フィールドだわ。やっぱり先生は頼りになるわね」


 さすがに教師だけあって、実戦も慣れているようだ。あれなら少しは当てにしてもいいだろう。


「今のうちに水菜と合流する」


「ところが、既に後ろにいるんだなぁ、これが」


 振り向くと、何故か腰に手を当てて無駄に誇らしげな水菜が立っていた。


「機を見て敏ってやつか。探す手間が省けたぜ。」


「いよいよ、やるのか?」


 水菜が唇の両端を吊り上げ、凶暴な笑顔を見せる。


「ああ、お前の出番だ。囮は俺が引き受けるから思いっきりやってくれ。10分後を目処に仕掛ける」


「おう、任せろ。じゃあな」


 言うや否や、二階建ての民家を軽々と飛び越え、水菜は姿を消した。


「やるって何を?」


 ここから先の作戦は、シルフィにも伝えていない。


「まあ、見てろって。うちのエースの実力をさ」


 そう言って、俺はとりあえず水飲み場のある公園の方へと歩き出した。(実は走り続けで、既にスタミナが残っていなかった)


 納得していない顔ながら、シルフィもそれ以上の質問はせず、黙って後に続いた。








 ・・・さあ、いよいよ、最終手段。一発勝負の大博打の始まりだ。


 そう決意を固めた俺の顔は、おそらく水菜のようにさぞかし凶暴な笑みを浮かべていたに違いない。

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