第18話 真っ黒な涙
ヨルは叫ぶ。
「私は正しい。お前は間違っている。こんな国など滅ぶべきだ」
「それは違う!国からの理不尽な対応に怒るのはわかる。
悲しかったろう、辛かったろう。しかし国を滅ぼすのは間違っている」
「間違っているとしてももう誰にも止められない。ただ一人、お前以外には」
「ならば私はお前を止める」
私はリアムに問いかけた。この戦い、勝てるかと。
ヨルの魂を救えるかと。聖剣リアムは応えた。刀身が青く光り始める。
リアムに会った日を思い出した。
あの日、母を失った少年は大きな鉤爪と翼を得たこと。
剣の切っ先がぐにゃりと曲がり鉤爪の形へと姿を変える。
柄の先端からは翼が生えた。
「はあああーーーッッ」
声を上げて私は飛び上がる。
リアムの翼がはためき、そのままヨルへと突っ込んだ。
その鉤爪が少女の身を裂く時、小さな声で、しかし確かにその声は私の耳に届いた。
「姉さんーー」
少女は目を閉じ、静かに涙を流した。
真っ黒のドレスは破れ、赤い血が飛び散り、ヨルは掛け時計の下へ吹っ飛んだ。
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