第8話 ハプニング

 無事に俺の寝床を確保し終えて、穂波さんはシャワーを浴びにいった。

 先生のことだから、浴槽の沸かし方とか洗い方がわからないから、シャワーだけで済ませてるんだろうな……


なんとなく穂波さんの思考回路が分かってきたような気がする。

まだ、同棲生活決まってから半日も経ってないのに、俺ってエスパー? っとどうでもいいことを考えてしまうくらいには理解していた。


 俺はその間も、手を動かすのは止めずに、手っ取り早く持ってきた荷物の整理を行ってしまう。といっても、置き場がないので必要最低限の物しか出せないのだが。

 明日から、本格的に部屋の掃除をしないとだめだなこりゃ・・・・・・


 こんなことを考えていると、穂波さんがお風呂から上がってきた。


「おっ待たせー、次シャワーどうぞ!」

「って! なんでバスタオル巻いて出てくるんですか!? 服着てください! 服!」


 穂波さんは身体にバスタオルを巻いただけの状態でリビングへとやってきた。そして、もう一枚のバスタオルを使って髪を拭いている。


 穂波さんはバスタオル越しでも分かるスラっとした身体のラインをこれでもかと思う存分見せつけて、さらに服越しよりもさらに強調されて存在感を増している大きな胸の谷間を存分に見せつけ、真っ白な健康的な太ももを醸し出し、健全な男子高校生がいつ暴走してもおかしくないような格好をしていた。さらに、お風呂上がりのいい香りが相まって、余計にエロさが増している。


「えぇー。だって、私家だと基本裸よ? むしろこれでも、私にとっては遠慮してる方なのよ? 慣れてもらわないと」

「裸族かあんたは!?」


 都市伝説かと思っていたが、まさか本当に普段から家で裸で生活する人がいるとは……


「俺も一応異性なんですから。そこはもう少しわきまえてくださいよ。先生なんですし」

「むっ、だから家では先生って呼ばないでって言ってるでしょ」


 少し怒ったように力を込めて言ったので、その反動でその暴力的なまでのおっぱいがぷるんと揺れた。

 こりゃ、俺の性欲が爆発するのも時間の問題な気がしてきた。


「とにかく! 一緒に暮らすなら服を着てください!」

「……はぁ~い」


 渋々といった感じで……というかもう既に不貞腐れた様子で、穂波さんはその辺の服を適当にかっさらい、その場でバスタオルをスルスルっと脱いで……って!?


 俺は瞬時に身体を背にして、穂波先生から目を背けた。


 あっぶねぇ……見てないぞ?

 先生の柔らかそうな胸の頂点に付いていた綺麗なピンク色の部分なんて俺は見ていないぞ!?


「だ、だから、なんでここで着替えるんですか!?」

「別に裸見られても私気にしないし、全然見ていいよ?」

「いやだから、俺がダメなんです!」


ほんとこれ以上、俺の欲を暴走させるのだけはやめて?


「えぇー? そんなこと言って、男の子なんだから女の子の身体に本当は興味あるくせにー」


 興味はありますよ、そりゃ男の子ですし。

 むしろその穂波さんのあられもない裸体を、一番近くで舐めまわすように凝視したいまである。

 だが、ここで俺が鼻の下を伸ばしてデヘヘっとか変な声出したら負けなので、噛まないように少し強めの口調で言い放つ。。


「べ、別に穂波さんの身体なんて興味ないですし!」

「むっ」


 あっ、ヤベっ。これアカンやつや……


 穂波さんは機嫌を損ねたような声を出した後、何も声を発することなく服を着る絹擦れの音だけが聞こえてくる。しばし部屋の中に重い空気感が張り詰める。

 

これ、穂波さん絶対怒ったよね? 

 

 初日からいきなり怒らせちゃうなんて……最悪の場合、今から出てけと言われて、そのまま放浪なんてことも・・・・・・



 絹擦れの音が聞こえなくなったところで、俺はクルっと振り返りざまに開口一番に謝罪をする。


「あの、穂波さん! 今のは・・・・・・ぶっ!」


 そこには、ニヤニヤとからかうような笑みを浮かべて、パンツだけを履き、手ブラでグラビアアイドルのようなポージングを取りながら、上目づかいでこちらを見つめている穂波先生の姿が・・・・・・!


「な、何やってるんですか!?」

「やーい、引っ掛かったー」


 子供みたいに無邪気な声を出してはしゃいでいる穂波さん。クソッ、さっきの絹擦れの音はダミーだったのか。ってか、もう学校での氷の穂波のかけらもないな……


「それで、どう? これでも私スタイルだけは自信あるんだけどなー」


 そう言って、器用に手で胸を隠しながら、ゆらゆらとぷるるんと、そのたわわな胸を揺らして見せつけてくる。

 俺は咄嗟に目を逸らそうとしたが、男の性か、揺れる母性溢れる胸に、自然と目がいってしまう。


 白くて柔らかそうで大きくてぷるるんとしていて、エロい谷間をこれでもかというくらいに見せつけられて。こんなの、最高以外の言葉があるかぁ!


「そ、その・・・・・・」

「ん~なぁに?」


 完全に穂波先生にペースを握られてしまっている。どうにかして逃げなくては・・・・・・


「俺、シャワー浴びてきますね!」


 そう言って、下に置いてあった着替えを手にもち、ダッシュでお風呂場へと駆け抜けようとした時だった。

 ツルっと何かに足を取られて、そのまま体制を崩す。

 足場を探すのでさえ困難なこの部屋で走ったのが間違いだった。

 

俺はそのままお約束かの如く、先生の方へ体制を崩して、そのままダイブしてしまう。さらに運悪く、あられもない姿の穂波さんのそのふくよかな胸元へ飛び込んだ。


「きゃっ!」


穂波さんの悲鳴と共に、俺の顔はふにゅりと先生の豊かな胸に吸収され、そのまま二人してベッドの上に倒れ込む形になる。

 し、しまったぁぁぁぁ!!

 俺は必死に逃げようと顔を動かそうとするが、次の瞬間、穂波先生が俺の頭をがしっと掴んでそれを阻む。


「ふぅーん。やっぱり私の胸、飛び込みたいくらい気になってたんだぁー。エッチ」

「ひ、ひはふんへふ・・・!!(ち、違います!!)」


 必死に反論しようとするが、胸に完全に頭が埋もれているため、しっかりと言葉を発することが出来ない。



「あっ・・・/// こら、暴れないの///」

「ひひはら、はひて~!!(いいから、出して!!) ひふ!!!(死ぬ!!!)」


 俺の担任教師で、通称氷の穂波こと菅沢穂波とひょんなことから始まった同棲生活は、これからどうなってしまうのだろうか。正直、不安でしかない。

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