第24 絶対に泣かす?




 俺が次に目を覚ましたのは、周りは眩しい程に明るくなっていた。

 2度寝でこんなに明るくなる時間まで、寝られるとか自分が自分で、軽く怖くなってくる。



 怖くなってくると思いつつも、まだ寝られるなと考えながら、今は朝の何時だと気になり、眠たい目を擦りながらスマホを手に取り、時間を確認すると時刻11時を過ぎていて、時間を見て驚いた俺は更に目を擦り、思わず2度見をする。



 いやいやと首を横に振り、スマホを何度も見てみるが、時間は何度見ても変わらず、11時を過ぎていた。



 流石にこれは寝すぎだろ、と思わなくもないが、やる事はゲームセンターに行く以外に、何の予定も無いし、気にする事でも無いなと考え直し、気にしない事にする。



 折角の休みなんだ、休みの日ぐらいは、どれだけ寝ようと、全く悪くは無いはず。

 昨日は寝ずで遊びに行ってるから……例え遊んでいなかっとしても遊びに出かけたし、体は疲れ果てても不思議じゃない。

 


 夜中の変な時間にも起きてしまって、メールが送られてきていて動画を見たんだ、きっと自分で思っている以上に遅くま……



「遅く? あれ……? 俺って動画を見てから2人に返事を返した記憶が……? メ、メールちゃんと返してるよな……?」



 動画を見た事を思い出し、動画を見た記憶はあるが、メールの返信をした記憶が全く無く、不安になり俺は、ちゃんと返信してるはず、そう自分に言い聞かせながら、恐る恐るとメールの返信画面を開く。



 返信画面を開き返信メールを探してみるが、どれだけ探しても返信メールは、悠里の名前だけしかなく、俺はさっきまであった眠気など、一気に吹き飛んだ。



 僅か2日で初めて出来た友達からのメールを、既読無視するとか俺はいったいなんだよ……メールを既読無視って、言っていいのか分からないが、流石に……じゃなくて、そんな事を考えてる場合じゃない。



 こ、こんな時間に何てメールを返せば良いのか分からなさ過ぎる。

 普通に寝てて、返信遅れてごめんと、謝りのメールを送ればいいと思うが、2人からのメールが来た時間が、どちらも19時過ぎた所で、送られてきているから言いづらい。



 19時過ぎにメールが、送られてきているのに、昼前まで寝ていたとか言いづらすぎだろ。

 その前から寝ていた事になるのに、この時間まで寝てたとか誰が言えるんだ、絶対に頭がおかしいって思われる。



 本当に、こ、これは何て返せばいいんだ……難し過ぎる。これがテレビでやっていた、世間を騒がせる既読無視問題なのか……ま、まさか俺がする事になるだなんて思いもしなかった。



 2人が俺にメールを送っても、返ってこないからと言って、メール送らない様にしようよ、と話して本当に俺が、虐められる未来しか見えない。


 

 俺は、結局しばらく考えていても、なんて送っていいのか分からず、罪悪感を感じつつ見苦しいという名の嘘をつくことにし、無難に〔ごめん少し立て込んでて返信遅れた〕と最初に付けて、どうか友達がいなくなりませんようにと祈りつつ、それぞれに送られてきた、動画について返信をする事にした。



 2人に返信をして、理衣亜からもメールがきている事を思いだした俺は、メールを見ようと受信画面を開くが、なかなか理衣亜からのメールを見られずにいる。



 駅前の道の真ん中で、言いすぎたと思うところもあるし、その事を謝りたいとは思うが、どうしても昨日の理衣亜の事を許せずにいて、思い出しただけでイラッとしまう。



 理衣亜がごめんとメールで、謝ってきていたとしても、まだ許せる気がしない。

 家は隣なんだから悪いと思うなら、直接来いよとも思わなくもない。



 他にも無いとは思いたいけど、昨日の事なんかを忘れたかの様に、遊ぼうなんて言われた日には、流石にまたイラッとするのは目に見えている。



 謝りたいと考えている俺も本当にいるが、そんな色々な考えが浮かび、なかなかメールを見られずにいたが、最終的に理衣亜からのメールは、本当に悪いとは思いつつも、読まずに削除をする事にした。



 メールを読まずに削除をするとか、やっている事は俺の方がどんどん、悪くなっていっている気がするな……だけど、まだ許せそうに無いほどイラついているのが事実で、そんな中メールでなんか謝られたくないし、これ以上イライラもしたく無い。



 こんな事ばっかり考えていても、イライラが消える訳でもないし許せる訳でもない。消したものはしょうがない。それよりもお腹が空いてきたな。



 よく考えたら昨日の朝から、何も食べていない事に気付き、余計にお腹が空いてきて、俺はご飯が何か無いかなと、部屋を出て下に降りた。



 リビングに入ると、親の姿はなく、悠里がソファの前に座り、勉強をしているのに気がつき、部屋でしろよと思わなくもないが……昨日のジャージの件もあり、おはようと声をかけることもせず、そのままキッチンの方に向かう。



 俺って心が狭いのかもと考えつつも、初めて出来た友達と、初めて遊びに行くのがジャージで大丈夫と、騙された訳だし、俺が怒らないだけ良いのかとも思わなくもない。寧ろ怒っていいまであるだろうけど、俺が聞いといて怒るのも違うと思わなくもない。



「おにい……お、おはよう」


「……お、おはよう」



 キッチンにそんな事を考えていながら、向かっていた俺に悠里がおはようと言ってくる。

 言われたら流石に、無視をする事が出来ず、思わず俺も挨拶を返す。



「ね、ねぇ、お、おにい?」


「なんだ? ジャージの事か? 謝るって言うなら許さないこともないぞ?」


「え? なんでジャージの事を謝るのかよく分からないけど、そんな事より、り、リアねえの事なんだけどね……」

 


 いつもより悠里が、元気がない感じだから反省しているのかと思えば、ジャージの事を謝る理由が分からないとか、本気で言っているのか? 俺だけジャージ姿だったんだぞ。そして、そんな事よりアイツの話とか……

 俺は悠里を絶対泣かすと心に誓う。

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