第15話 挑発?




 黒木と山崎とやっと連絡先も交換出来て、いい気分だったのに、台無しにしてくれた今井君が俺の返事を待つように無言で立っている。

 その後ろには名前の知らない女子2人が不満そうにして立っているが不満があるのは俺の方だ。



 初めての初めて出来た友達との楽しく会話しながらご飯を食べようとしていたのに邪魔をされたんだ不満がない訳が無い。

 理衣亜のお願いを2つも聞くことになったのにこの仕打ち酷すぎだろ!?



 ましてや話かけて来た理由が理衣亜が俺のせいで親睦会に来ないみたいなんだ、とか言われても意味が分からなさすぎる。だからどうしたって話だ。

 


「はあ……百歩譲って俺のせいだとしよう! 他にも来ない人はいるだろうし別にいいだろ?」


「百歩譲ってと言うか千歩も1万歩も譲っても足りないぐらい君のせいなんだけど? 他にも来ない人はいるよ? でも折角の親睦会何だし、早川さんには是非参加をして欲しいんだ」



 どこまで行っても俺のせいだと断言する今井君。

 そこまで俺のせいにされても困るし、おかしいんだが他にも来ない人は、やっぱり居るみたいだし別にいいだろって思うが理衣亜は来て欲しいんだと返される繰り返しになるだけだろう。



 はあ……折角、何も無いと思っていた昼休みだけにこれは本当にめんどくさ過ぎる。

 さっきまでの落差が激しすぎる分余計に。



「そうだな、それなら是非参加してもらえばいいんじゃないか? 俺はそろそろご飯食べたいから、また今度にしてくれ」


「ぼ、お俺も是非早川さんには参加をして欲しいんだって言っているよね? 君、人の話を聞いてるかな? また今度って意味が分からないよ? 今度にしたら親睦会終わってるよね? ご飯を食べながらでもいいから聞くだけ聞いてくれるかい?」



 理衣亜が親睦会に参加をしても、しなくても俺は関係ないから是非、理衣亜を参加させればいい、だからまた今度にしてくれと今井君と話すのがめんどくさいから言ってみたがダメだったみたいだ。

 


 何がダメなのか全く分からないが……理衣亜を誘いたいなら誘えばいいのに、俺に言われてもどうしようもない。

 まあ聞くだけでいいみたいだし、聞くだけにしてご飯を食べよう。



「それでね、君には早川さんを誘って欲しいんだ。是非誘ってくれないかな? 君は用があるなら無理に来なくてもいいから」


「……」


「ほ、ほら君も早川さんには交友関係とかあるし来た方がいいと思わないかな? 新しく交友関係とかも出来るだろうし」


「俺も早川さんとは仲良くなりたいし、だから早川さんには是非参加をして欲しいんだ早川さんと仲良くなって連絡先を交換もしたいし……君、話聞いてるかな?」


「ああ、聞くだけ聞きながらご飯を有難く食べてるよ? 話はそれで終わりか?」



 今井君の後ろにいる女子は不満気な顔でちゃんと聞いてるみたいだぞ? とは流石に言わない。

 俺にも何かしら飛んできそうだからな。そして俺も不機嫌なのでまともに聞く気は全くない。



 それに今井君の言い方が所々ムカつくんだよな。理衣亜には交友関係がって! 俺にだって交友関係あるからな!? 俺には交友関係が出来ないみたいな言い方もイラっとしてしまう。



「ならいいけど……で、どうかな? 早川さんを誘ってくれるかな?」


「何で俺が? 勿論断る、自分で理衣亜が来てくれるように誘えばいいんじゃないか?」


「それが無理だから君に頼んでいるんだけど? 人の話を本当に聞いているかな?」



 あれが頼んでいたのか。挑発をしに来ているものだと俺は思ってたよ。棘のある言い方しかしてこないから勘違いしてしまっていたようだ。



 って思う訳ねーだろ! うん今度から今井君と書いてコイツと呼ぼう何で楽しかった昼休みを邪魔されてまで今井君に、こんな事を言われなきゃいけないのか謎だ。



「勿論ちゃんと聞くだけ聞いて左耳から有難く出させてもらってるよ」


「……君そんなのだから友達出来ないんじゃないかな?」


「友達はいるから大丈夫だ。話が終わったならもういいだろ」



 俺が最後にそれだけ言って後は無視をしたが今井君はそれが気にくわなかったらしい。

 何でこんな奴と早川さんが……と舌打ちしてから言っていた。



 本当に何であんな奴がモテるのか不思議でならない世の中だ。茶髪で爽やかでイケメンで女子に優しかったらモテるのか!?

 それに絶対に俺と同じぐらい友達居ないだろうな今井君。女子と話してるのは見かけるけど友達じゃないな間違いないな。



 今井君が取り巻きの女子2人に色々言われてるのを見送りそんな事を考えながら俺は残りのご飯を1人で食べた。

 そして、その後の休み時間も放課後も今井君が来ることは無くその日は終わり俺は1人家に帰った。

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