第13話メールの落とし穴?
その日の昼休み以降の俺はいたたまれなった。理由? 理由は分かるだろう。理衣亜が中学生の時も一緒に寝たよと、とんでもない爆弾発言を言ってくれたからだ。
昼休みが終わって教室に戻ると針を刺す様な視線を浴びるし、今井君に至っては怒気の篭った目で睨んでくる。
そんな訳で俺はその日の授業が終わると即座に教室を出て、寄り道もせず家に帰り部屋に向かった。
「はあ、黒木と山崎の連絡先を聞けなかったな」
部屋に入り制服から着替えてベッドに横になった俺は独り言がでる。
黒木と山崎はどこに行っていたのか、昼休みが終わるギリギリで戻って来ていた。昼食は勿論、俺も含めて食べていない。
そのおかげで土曜日の遊ぶ話も連絡先も分からずじまいだ。
明日の休み時間に聞こうとも考えるけど、聞けなさそうな気がしてしょうがない。
友達への1歩目が上手くいったと思ったらこれだ。昼休み、あんなに俺の気分を持ち上げといてあの結果はあんまりだ、ドン底まで落とされた。
明日どうなるかな、今井君には色々聞かれそうな気がするが、気がするだけだと思いたい。他のクラスメイトは話したことも無いし、聞いてこないよな? 聞いてこないはず。
こんな時は友達がいなくて良かったと思ってしまう。
ブーブブーブー
色々と頭を悩ませていたらスマホが震えだす。
確認しなくても分かる、間違いなく悠里からのメールだ。スマホ買って貰って結構経つが未だに悠里としか連絡をとったことが無いから。
本当になんの為のスマホだ、妹としか連絡とらないスマホとかある意味悲しすぎだろ!
〔おにい暇? ごめん、聞かなくても暇だよね! お母さんに頼まれた買い物代わりに行ってきて。お金を持ってでるの忘れた!〕
わかってて言ってるだろ!? くそー、ああ暇だ、暇してる! 何も言い返せない俺が悔しすぎる。悔しさを噛みしめつつ俺は返事を返す事にする。
〔ごめんな、とっても忙しいんだ。だから帰ってから行けばいいんじゃないか?〕
勿論嘘だが俺も忙しいと、ない見栄を張ってみた。それを送ってから悠里からの返信がすぐに返ってきた。
〔家にいるおにいが行った方が早いよね? 明日おにいが帰ってきて本棚の中身がスッキリしてるのと買い物どっちがいい?〕
こんのクソ妹がああ、捨てるのか? 捨てるって事か!? いやいやそれはダメだろ流石にそこまでしないよな。冗談だよな!? それより何で家にいるのが分かるんだよ……監視カメラでもあるのか!?
返事を考えていたらまた悠里からすぐにメールがきた。
〔忙しいって嘘つかれた私は凄くショックだなあ。嘘つかれたショックで本棚をスッキリさせて私のこの気持ちもスッキリさせちゃうのはしょうがないよね?〕
俺はそのメールを見て俺の心読んでるのか!? そんなスッキリのさせ方やめてくれと考えつつも、すぐに悠里に何を買ってくればいいか確認をした。そしてすぐに買い物に行く用意をして用意といってもエコバッグとテーブルに置いてあったお金だけだがそれを持って買い物にでた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「おかえりーありがと、おにい」
「どういたしまして、ただいま。冷蔵庫には悠里が入れといて。俺は部屋に戻る」
俺が買い物から帰って来ると、妹も帰ってきていたみたいで、リビングに入ると声をかけられた。
軽く返事をして部屋に戻ろうと思い買ってきたものの片付けを悠里にお願いした。
「えー」
うん、やっぱり嫌がるよな分かってた、分かっていたのに言った俺が馬鹿だった。そう思い、なんでもないとだけ言って自分で片付けていくことにする。
「おにい、そろそろ友達が片手分ぐらい出来た?」
「あ、当たり前だろ!? 何言ってるんだ!? 俺はもう部屋に戻るぞ!」
片付けを終わらせて部屋に戻ろうとしたら悠里が聞いてきた。
絶対分かってて聞いてるよな!? なんて妹だ! 親の顔が見てみたいってこんな時に言うんだな。
それからは夕食までラノベを読んで過ごした。
夕食を食べてる時、悠里に「俺の本棚をスッキリってどういう事だ?」と確認してみたら「どう言う意味? おにいが帰って本棚の中身がスッキリとは言ったけど、おにいの本棚の中身をスッキリとは言ってないよ?」と言われ俺は、その時溜息しか出なかった。会話って難しすぎじゃない?
それから夕食を食べ終わってしばらくはテレビを見て過ごし、悠里がお風呂から上がりその後、俺もお風呂に入って部屋に戻った。
部屋に戻り俺はベッドに横になりながら考えていた。理衣亜と連絡先を交換したし何かメールした方がいいのか?
こんばんは? 次が浮かばない……何してるんだとか聞いてもキモがられるよな……なんて送れば正解だ?
こんばんは、だけだとかまず送る意味無い。何食べたとかか? 気味悪がられそうだな……風呂入ったかとかセクハラだし問題外。ラノベの話は理衣亜が分からないから会話にならないだろうし論外。
悠里とのメールを見て決めるか……そう考えて見てみる俺。
見てから俺は後悔をした。俺ってまさか会話の才能が無いのではと。悠里からのメールは今日みたいな頼み事ばっかりだ。
その悠里からの頼み事メールばっかりで俺からしたメールは1通もなし。どうしろって言うんだ!? 理衣亜と連絡先交換したいと思っていたけど実際連絡先の交換したのはいいが理衣亜の連絡先があってもメール内容が浮かばないとか……
せっかく理衣亜の連絡先を知れたんだからメールをしたいが、本当に何て送ればいいかわからない。悠里に聞くか? とも考えたが聞いたところでキモイって言われるのが目にみえた。
メールがこんなに難しい何て、思いもしなかった。俺って普段理衣亜と何を話してた!?
ダメだ話を振られた記憶しかいくら思い出そうとしても出てこない。
本当にこんな落とし穴がメールにあるとか思いもしない。
そして、その後も俺は色々と理衣亜に何て送るか考えていたが、いつの間にか眠りについていった。
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