第2話 高校生活に向けて........健人




「お願いだよ父さん! 本当にお小遣い減らさずにスマホ買ってよ!」



「って言われてもなあ……妹の悠里ゆりは我慢したんだから兄の健人も我慢しなきゃダメじゃないか? それに健人の場合スマホ要らないからってその分もお小遣いのアップをしただろ」



「そうかも知れないけど本当にお願いします! 今度からお父様お母様って呼ぶから本当にお願い! 母さんも本当にお願い!」



「そう言われても健人だけねえ」



 中学校を卒業してから数日が経ち、俺は高校生活の為にスマホをお小遣いを減らさずに買って欲しいとお願いしている。



 前に1度そろそろスマホを持つかって、言われたが俺は連絡をする相手がいないし、ゲームやアニメはパソコンで出来るし見られるし、スマホが無くても困らないしでスマホじゃなく、それより携帯代にかかる分をお小遣いを上げて欲しいとお願いして今まさにこの状況。



 確かに俺が無茶苦茶言ってるのは分かるよ!? 分かるけど分からない。

 まだ友達いないけど高校生になったら友達に彼女が出来るかもしれないし、その時にお小遣い減らされてたら悲惨だ、遊びにも行けなくなるかもしれない。

 そういうわけで今こうやってお願いしているんだけど中々分かってくれない親がもどかしい。



「おにい、うるさい! おにいだけ、そんなのずるいからダメに決まってるじゃん! それにおにい友達居ないから要らないでしょ!? 必要性皆無じゃん!」



 ぐはっ……お、親の前でそれを言うの!? 言うのか妹!? それだけは言っちゃっダメなやつだぞ!?



「は、はあ!? と、とと友達ぐらいいるし! 理衣亜とかいるだろ、お前何言ってんの!? それに高校で友達増えるから尚更いるだろ!?」



「はいはい、そうですねそうですね! 幼なじみしか居ない友達ゼロだから増えるしかないもんね? 高校生になったら友達100人できるといいね、おにい?」



 こんのクソ妹がああ言わせておけば言いたいことばっかいいやがって!

 確かに幼なじみは友達なのかよく分からないけど!それに俺の方がずるいかもしれないけどそこまで言わなくてもいいんじゃないかって思わずにはいられない。



「はあ……分かった分かった買ってやるから健人、落ち着け、悠里も」



「え!? 本当に!? ありがとうお父様お母様! 買ってくれたスマホ大事に使うよ!」



 おお! なんか知らないけど買ってくれることになった。買ってくれてお小遣いを減らされないなら何でもいい。

 ここでお小遣いを減らされて欲しいものも買えなくなるとか目も当てられないし。



「はあ!? お父さん本気で言ってんの!? おにいだけずるいから!」



「ちゃんと悠里のお小遣いも上げてやるから落ち着け! 全く。それと健人お父様はやめろ」


「お母様も辞めてね?」


「私はお小遣いが増えるならそれでいいけど……」


「分かったよ! ありがとう父さん母さん!」



 俺は次の母さんの仕事が休みの時にスマホを一緒に買いに行き、高校生活に向けてスマホデビューした。



「理衣亜に連絡先を1番に聞きたいけど、どうするかなあ……振られたのに連絡先聞くとか、未練ありすぎに見られて好きじゃないじゃなくて、キモがられた挙句に嫌われる可能性も出てくるか?」



 スマホを買ってもらった日の夕方俺はそんな事を考えている。

 実際どうなんだろうか? 好きじゃないって言われた手前流石に連絡先を聞づらい。そして顔はもっと合わせづらい、会ってしまえばそうでも無いかもしれないけど。

 あれから理衣亜とは会ってないんだよな……はあ



 結局、気まず過ぎて休みの間に俺は理衣亜に会うことは無く入学式を迎える。

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