第5話 へんてこ牧場
「なんとか、会う方法を探さないとだな。幼い頃の声の記憶だけが頼りって、すごくあやふやだけど。」
「きっと会えますよ。そんな気がします。」
「ところで、クアンの眷属ってどんなスライムだよ?」
「とってもきれいな青いスライムです。」
「畑のやつは、どす黒い色だったけどな。」
「きっと、なにかを取り込んでしまったんでしょう。本来、私の元を離れることはないのですが。」
「眷属って言うからには使いに出したりするものだと思っていたけど?」
「眷属にも様々な種類がいます。あの子は我々にとって、命そのものです。」
クアンの言葉にウィンはたじろぐ。
「まさか、やられたら…死んじゃうとか。」
「そうです。といっても、魂の半分がということです。」
「魂の半分?」
「私の分身のようなものです。我々精霊が倒されたりしたら大変です。世界の均衡を守っているのは決して我々だけではありませんが、何十もの守りの内の1つでも破られれば、均衡は崩れてしまいかねません。ですから、その保険として魂移しを行い、守っているのです。」
「そうだったのか。じゃ、助けないとな!」
「ありがとうございます。」
「まずは、畑まで行かないとだな。」
「はい。」
精霊の役目のことを少しだけだが、知った。世界の均衡を守る守りの1つでそれが崩れたら世界が壊れかねないということだ。
スライムがなぜあんなことになっているのかは分からないが、きっと、何か異変が起こっているに違いない。
それに、あのスライムには、畑のおじさんからもらったアイテム(PSB)が役に立つかもしれない。
なんとか、魔石も手に入れることに成功した。そして、スライムと再び戦うためにクアンと共に畑に向かった。
「とうとう畑に着いたな!」
「がんばりましょう。」
打撃系の攻撃は効かないから、魔法で倒そう!
VS.スライム軍団 戦闘開始
「ウォーターⅠ」
「ウェーブⅠ」
2つの魔法を使って周囲のスライムを撃退する。
「ハァ、なんて数だよ。」
「……本当に凄い数ですね。」
「倒しても、倒しても増えてくる。」
「どこから沸いているのでしょうか?」
「あっ!あんな所から!!」
「………井戸ですね。」
「こうなったら……てや!…」
ウィンは井戸に石でふたをした。
「………。(こんなことをして、本当に良いのでしょうか?)」
「ふぅ。とりあえず、片付いたかな。」
「残っているのは、あのスライムですね。」
「とりあえず、PSBを使ってみよう。」
ウィンはスライムにPSBを使った。すると、スライムが苦しみだした。
「やばい!」
「大変!!暴走しだしたわ。」
「クアン!暴走を止めないと。」
「大丈夫です。やってください。」
「………ぐるる。」
戦闘開始 ブラックスライム
「…お、収まったか。」
「良かった。やはり、あの子でしたね。」
戦闘を終えると、あのどす黒いスライムはきれいな青いスライムに変わっていた。
「プキュー(クアン様!)」
「ブルー!心配しましたよ。」
「………。(名前あったのか。)」
「プププキュー!(ごめんなさい)」
「良いのです。無事だったのだから。」
「とりあえず、一件落着か。」
「ありがとう。」
「プピー!(ありがとうございました)」
「モンスター退治も終わったし、俺は村に帰るよ。」
「待ってください。」
「え?」
「これを。差し上げます。」
「これって、本当にいいのか?」
「あなたに持っていてもらいたいのです。」
ウィンはウォーターリングを手に入れた。
「これを持っていれば、私の力をいつでも引き出せます。通信機能も付いているので、私の力が必要な時にはいつでもあなたの力となりましょう。」
「ありがとう。助かるよ!」
「それでは、また会いましょう。」
「プププ!(またね!)」
二人?がそう言った瞬間に姿は消えた。さて、村に帰ろう。村に帰ったらすぐに畑のおじさんに報告だ。
「ということで、モンスター退治を終えました。」
「そうか。ありがとう!これは約束のモノだ。」
ウィンは野菜セット(ジャガイモ・ニンジン・タマネギ)と引換券を手に入れた。
「この引換券は何ですか?」
「アイテムショップで何かと交換してくれるらしいが、生憎、私には必要ないからな。君にあげるよ!」
「ありがとうございました!!」
じゃあ、アイテムショップに行ってみるか。アイテムショップに入って店員に話しかける。
「アイテムを購入なさいますか?引き換えは右の受付でお願いします。」
「いえ、結構です。」
「ありがとうございました。」
という事だったので、右側の店員に話しかけてみる。
「引換券を交換なさいますか?」
「はい。」
「それでは、交換する商品を選んでください。」
テント15枚
エンジェルフェザー10枚
マジックポーション5枚
カレー粉orポーション1枚
ここでは、間違いなく、カレー粉だな。
「ありがとうございました。引換券はこの町でアイテムを購入時に一枚進呈いたしております。」
後、必要なアイテムは牛乳・牛肉・卵だな。牧場に行ってみよう。
残りの必要な食材を集めるために、村の外れにある牧場へ向かった。
牧場の名前は「どきどき牧場」いまいち得体の知れない場所だ。
まぁ、とやかく言っても仕方がないので行ってみよう。牛乳・牛肉・卵ときたら、探す動物は決まっている。ウシとニワトリだな…。
さて、どこにいるんだろう?まずは牧場主に会いに行ってみよう。
「こんにちは。実はかくかくしかじかで…。」
「なるほどね。そういう理由なら全面的にお手伝いしますよ」
「ありがとうございます。」
「しかし、困ったことに。」
「えっと、なんだろう。嫌~な予感が…。」
「いや、大したことじゃないんだが」
「どうしたんです?」
「最近、家畜たちの様子がおかしくて。」
「ゴク。」
「暴走しているので僕にも何処にどの家畜が分からなくなっちゃって」
「ということは?」
「頑張って探してくれ」
「えぇえええ!!」
「おまけに。先々代のおじいさんが、仕掛け好きでね。いろんな仕掛けが施してあるので注意してくれ。」
「了解です。」
「食材は好きに持っていってかまわないよ」
「ありがとうございます!」
そんなこんなで、牧場のお手伝いをすることになったのだった。
牧場の中に入ると早速逃げ出した動物たちを見つける。バラバラに逃げているので取り敢えず1匹ずつ捕まえていこう。
「ん?なんだか毛色が違うものがいるような…。」
牧場の中に暴れまわっている動物の中、1匹だけ茶色の大きな牛が紛れている。
「あれってミノタウロスじゃないか?」
動かない魔物が、堂々と牧場に佇んでいる。
「そういえば、お使いのメモの中に牛肉が必要ってあったっけ。」
ぽつりとウィンが呟くとミノタウロスがびくりと反応する。そして怯えたまま襲い掛かってきた。
「げ、とりあえず牛は解体だ!」
剣を振って攻撃を続ける。こういう時魔法がないのは不便だ。かといって水系の魔法じゃあまり効果は期待できそうにない。
「連続切りで倒し切る!」
ひたすら切り付けてミノタウロスはやっと音を立てて倒れた。
もちろんお肉は美味しく頂きますよ?
「さて、後は暴れている動物を集めてしまおう。」
ウィンはミルクに牛肉、卵を3つ手に入れた。すべてのお使いを終えて村長の家へと向かう。ドアを開けると普通の家の中だった。
「お使いご苦労じゃったの。」
村長が笑いながら出迎えてくれた。集めた材料を渡す。
「うむ。見事にカレーの材料が集まったわい。これで買い出しに行かなくて済むのぉ。」
「やっぱりただのお使いだった!」
ウィンは精神的なダメージを10受けた。
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